鶴かもしれない2016 公演情報 EPOCH MAN〈エポックマン〉「鶴かもしれない2016」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    驚愕の鶴
    脚本と構成の巧さに加えて生き生きとした台詞が素晴らしく、芝居の面白さを堪能した。
    思わず本当にひとりなのか、と思ってしまうほど見事な掛け合いと、あっと驚く演出。
    誰かにお礼を言いたい、喜ばせたいと思った時に他の方法を持たない女の一途で切ない思いがビシビシ伝わってくる。
    完璧な台詞のタイミングには驚嘆しかない。
    哀しい鶴の声がまだ聴こえる…。

    ネタバレBOX

    二方向から客席が囲む舞台には、3つのラジカセが置かれ
    床には古めかしい大きなトランクがひとつ。
    細い竹(?)の棒が所々に立っている。
    やがてこの細い棒が自由に移動し、ドアとなり機織り機となることがわかる。

    一つのラジカセから昔話の「鶴の恩返し」の朗読が流れる。
    それにつれて現代の若い男女の物語が展開する。
    新宿の往来で泣いていた女にティッシュを差し出した男の元へ
    お礼を言いたいと女が訪ねて来るのだ。
    そして一緒に暮らし始めるが、女は時々1週間ほど“バイト”に行く。
    ある時不審に思った男がたどり着いたところは…。

    ラジカセから発せられる台詞との掛け合いが何と生き生きとしていることか。
    ヘタな相方など要らないとさえ思わせる、完璧なタイミングに驚愕。
    同時に、後半ラジカセを使わず、衣装も変えずにシリアスな場面で
    ごく自然に男と女を交互に演じた時は圧巻の台詞力を目の当たりにした。
    この自在な切り替わりが、物語のテンポと緊張感をキープする所以かと思う。

    料理のシーンの、しなやかな身体性を生かしたほとんどダンスのような演出。
    いきなり劇場の外が見えた時の、客席のどよめき。
    羽織り、重ねた着物の鮮やかさ。
    アイデアと工夫に満ち、練り上げた作品とはこういうものかと感動した。

    大切な人を喜ばせる方法はほかにもあるのに、
    それは例えば一緒にいることだけで十分なのかもしれないのに
    鶴は自分の身体を痛めて布を織ろうとする。
    鶴子もまたほかの手段を知らないという点で、同じように痛々しい。
    愚かなまでに自虐の道をたどる女の可愛らしさ、哀しさが繊細な表情からこぼれる。

    すごいなあ、こんな作品を創るんだ、小沢さんって。
    鶴の声、女の声、男の声、どれも耳に残って忘れられない。
    素晴らしい作品をありがとうございました。






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    2016/01/21 16:26

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