満足度★★★★★
ダーク
初日に続き2回目。対面客席で、初日とは反対席で観た。文字通り作品を違う角度から観た実感。気付かなかったことが見えて来た。是非ともリピート観劇して欲しい。是非とも逆サイドで観て欲しい。死角になっていた表情を観て欲しい。いつ、誰が誰を見ているのかを感じて。時は移りゆく。最高の今も、最悪な今も、すぐに過去になる。最高の過去にはしがみつき、最悪な過去からは逃れたいのが人の常。なのに現実は、まるでその逆へ逆へと引っ張ろうとする。確実に時間は流れていく。あの音が、微かに、ずっとしている。生きていれば止まらない。電話やメールは電波だから見えない。だから、好きな人が誰に電波を送ったのか知りたくなる。電波を、砂で見えるようにした演出に感心。そう、音と光の演出が見事。断片的な言葉、時間軸が交錯する台詞。靄のかかった関係性を少しずつ脳内で構築していく面白さを味わう。怪我をした鳥。巣を攻撃されたから。下手に救うと野生に戻れない。巣が壊れて心に深い傷を負った彼女。でも、ずっと大きな空を飛びたくてもがいている。愛する者がみな死んでいく。求愛の唄も聞こえない。開いたレンズの中で何億年も前の星の光がゆっくり…。時は流れる。青年団の小瀧万梨子さんは、砂地でミステリアスで魅惑的な女性像を確立している。それを堪能するだけでも観る価値あり。そして、ヒリヒリした船岩ワールドを味わえば、きっとその毒がまわって、常習的に味わいたくなるはず。麻薬のような演劇集団砂地。