書を捨てよ町へ出よう 公演情報 東京芸術劇場「書を捨てよ町へ出よう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ネタばれ
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    ネタバレBOX

    マームとジプシーの【書を捨てよ、町へ出よう】を観劇。

    時代も世代も感覚も全く違う作・演出の藤田貴大が、寺山修司とどのように対峙するかが興味の一点である。

    始まりは前作と同じ様な眼球の解剖から始まり、背景ではパイプイントレを組んで、無機質な造形物が組まれて行く。
    そしてライフルで人を虐殺する若者、虹郎の人生、妹の強姦、叔母の姥捨て、そして寺山の母親ハツとの確執など寺山修司色満載である。
    だが決して藤田の表現方法はいつもと変わらず、反復であり、物語性すら求めない違和感を感じるスタイルは健在だ。
    そして寺山が描く望郷感も藤田が描くととんでもない地獄絵図になってしまうのは、彼に対する反骨精神とも取れるが、
    それはまるで寺山が藤田との出会い待っていたかのようでも思えるが、実の処、これは全くの偶然の出会いでしかない。
    それは寺山修司のあの名言【出会いの偶然性を想像力によって組織する】を藤田がただ体現しただけだろう。
    そして未だに分かるようで分からないアングラ演劇と寺山修司という奇妙な存在と今作は、結局誰もが分からずに終わってしまうと思いきや、
    舞台で流れる映像の中で、作家・又吉直樹に答えを言わせるという何とも藤田らしい?いやいや寺山修司に対する尊敬の念を示した終わり方で幕を閉じるのである。

    難解であり、苦痛であり、そして受け身で観劇しようものなら駄作であるが、
    それを取り払う勇気があれば、とんでもない傑作なのである。

    お勧めである。

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    2015/12/16 14:25

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