ストリッパー薫子 公演情報 BuzzFestTheater「ストリッパー薫子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    タイトルとのギャップに驚き
    この公演の最大の魅力は、エロチックなタイトルと物語の脚本、コミカルとシリアスな演出のギャップ...その感情振幅が大きく、良い意味での裏切られが印象的である。芝居の画一化といえば大袈裟であるが、例えば悲劇・喜劇は、泣き・笑いという感情表現が片寄るような観せ方になる。自分もその流れを自然に受け入れていたと思う。
    しかし、このリップ座公演はエロカワイイと人間の深淵という異質な状況を見事に融合させていた。

    ネタバレBOX

    梗概は、説明文から「ストリッパー薫子に近付く、テレビマン・岡本は、 『貴女のドキュメンタリー映像を撮らせてください!』」と懇願する。だが、薫子の心の奥底には、今でも深い深い傷跡が残っていた。 岡本は彼女の闇を消し去ることができるのか。そして岡本の真の目的は、薫子の父(実は養父)が大手芸能事務所代表で、その力で所属事務所にいたお子元の妹を甘言を弄し陵辱した上で自殺に追い込んだ。その復習のために近づいてきたと...。

    そして、薫子自身も幼き頃に父から受けた心の傷...その結果、多重人格を形成する。サイコサスペンスの様相を見せるが、その描きはユーモアとグロテスクなシーンが交差し、観ている者(自分)の感情を揺さぶる。

    ストリッパーという華やかな表舞台、一方哀愁、焦燥が漂う裏舞台は楽屋である。その両方を舞台セットとして見せる。表舞台(非日常)は、スポットライトを浴び回転盆の上で艶かしく踊る姿態(肢体)。楽屋は化粧台、長椅子、ロッカーなどが乱雑に配置されている。それが現実(日常)生活を物語っている。ここでも非日常と現実(虚実)というギャップを見せるが、まさに薫子の心の多重性を暗示しているようだ。
    この公演は、職業こそストリッパーという設定であるが、悲喜こもごもの人間ドラマが垣間見える。
    なお、ラストは映画「監督失格」(2011年制作)に見るような悲しい結末であるが、しっかり余韻(ナレーション、音楽)を感じさせる見事な幕引きであった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/11/14 23:33

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