龍 -RYU- 公演情報 劇団ZAPPA「龍 -RYU-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    少し龍馬の魅力が...(雷)
    龍馬が龍になる前の物語。どちらかというと土佐藩内における上士、郷士という身分制度の理不尽さに目がいくようであった。その主人公の龍馬は、その魅力ある姿がなかなか観られなかったが、そこは演出の妙であろう。ラストにはしっかり龍が天に昇る...そんな印象を持たせる幕末土佐における群像劇であった。


    ネタバレBOX

    もう少し早い段階から龍馬の魅力を出しても良かったのではないか。先にも記したが、龍馬の魅力がなかなか伝わらない。その脱皮する、または成長過程がわかり難かった。この「龍」という字は、”人との思いを繋げる”という意味があるらしい。その繋げる、という場面は郷士仲間との語らいの中で十分表現している。また裏切者と言われている郷士・岩崎弥太郎(雷・北崎秀和サン)との繋がりも心温まる。

    柵(牢)内に閉じ込められている郷士が脱出(結果、脱藩)する、それまでの方策、それを阻止しようとする上士との攻防は面白い。その中で見える人間性...このあたりから龍馬の存在感が出てくる。この人の繋がりは、舞台の色々な場面で出てくる”蛍”が印象的である。一輝から無数に輝く、その美しさは幻想的であり、少し哀しい。この哀しさは、言葉を変えた土佐女...いやこの時代の女性全般に言えるのだろう。夢を持ち大志を抱くなど、考えもしない。坂本乙女の「男に生まれたかった!」は心に響く。

    これから活躍する「龍馬」誕生までの、あまり知られていない脱藩までの芝居は観応えがあった。特に脚本・演出も面白いが、その役者陣の殺陣は迫力があり、最前列で観ていたが緊張感溢れていた。役者陣の演技力もバランス良く安定しているようであった。

    なお、本公演は2回(9月3日、9月6日)観たが、初日では冒頭 郷士脱藩して途中川に足を入れるシーンでSEと合わない、また龍馬が江戸に出向く際、旅仕度(薬を渡す)シーンでは、初日はマイム、6日には小物箱を用意するなど、日々観やすく修正しており好感が持てる。

    龍馬が初めから”龍”ではなく、段々と仲間の思いを知り受け止め成長していく姿が印象的である。今、意味を深く考えない行動・行為は大きな過ちまたは破綻を引き起こす危惧がある。今幕末ほどの転換期ではないが、不安定な情勢によって社会不安が広がると、多くはわかり易い世界観を説くほうに傾斜する傾向があるようだ。幕末における龍馬が日本または世界を見据えて、自分で考え行動したことを改めて自分の中で反芻したいと。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/09/17 17:49

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