青色文庫 -其弐、文月の祈り- 公演情報 青☆組「青色文庫 -其弐、文月の祈り-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    Aを拝見
    目白にある古民家を利用したギャラリーでの公演。門構えにも風情があり、門を入るとアプローチの傍は庭、トクサ等も植えてある。奥ゆかしさが偲ばれよう。手入れが行き届きすぎていないのも良い。上がり框で履物を脱ぐと正面が受付。楚々たる美女が、対応してくれる。

    ネタバレBOX

     左へ進むと蚕農家のような高い天井には明かり採りの窓が設えられ詩的なイマージュを喚起する、板の間である。更にその奥が畳の敷かれた六畳間。上手、奥には凹みが作ってあるので、部屋を使う者のイマジネーション次第で如何様にも変化させることのできる自由空間である。尤も、上手中ほどの自由空間には、蛇口が取り付けてあり、水の神様と言われるツチノコのような形をした木像が鉄の舌を出している。他に、埴輪で表現された馬のような形のオブジェ、書籍の入ったエリア等々。
     奥のフリースペースには、今回、硝子の器に入った蝋燭に火が灯され、風が吹けば揺れそうな、か細く極めて脆弱な守りの壁にもガードされて、命の火が燃えているようにもとれる。
     作品は二点。小川 未明の「野薔薇」と太宰 治の「十二月八日」である。無論、二編とも戦争に纏わる作品だ。だからといって、自分のように、蝋燭の炎を命と読むことは強制されない。
     何れの作品も最初と最後に風鈴の音が聞こえる。脚本レベルで、未明の作品には殆ど手は加えられていない。太宰の方は、ある程度、手を加え、アレンジされているが。
     演者たちの巧みな朗読とゆったりした時間を存分に楽しむことができる。
    役者陣の朗読レベルの高さ、シナリオの的確と雰囲気を作る巧み、また、椅子の用い方、役者のオンオフが横向きに座る、正面を向くという単純で明快な所作によって表現されている点でも、暗転を少なくし、緊張を程良く継続する手法として作品内容ともあった手際の良さと同時に品を感じさせるものであった。

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    2015/07/11 02:21

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