Re・BIRTH-南総里見八犬伝異聞-【完結編】 公演情報 super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船「Re・BIRTH-南総里見八犬伝異聞-【完結編】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    熱く楽しい舞台
     玉梓の怨霊に祟られたか、レビューを書こうとするとフリーズしたり調べ物ができなくなったりして、ここ数日を過ごしている。どうなっているのか原因は定かでない。何れにせよ、かなり厄介ではある。

    ネタバレBOX


     本論に入ろう。何時まで愚図愚図していても始まらぬ。今作は無論、滝沢 馬琴の「南総里美八犬伝」を下敷きにした作品だが、原作は、初出から28年がかりで刊行されたという長編物語である。江戸時代後期に発表された作品だが、現在では、古典と呼ばれても良かろう。ところで、古典と呼ばれるに至るような作品は、残らなかった作品と何がどのように異なるのか? それは、古典では人間が描かれているという点だろう。残らない作品には、古典ほど深く広い人間への省察が無いのである。余りにも当たり前なことを何故今更、と思う向きもあろうが、演劇のコンペに応募してくるような作品の中にもこの点を忘れている作品が散見されるからである。
    その点、快賊船による今作は、南総里美八犬伝が、何故古典として生き残ってこれたのかが、実に良く分かる形で舞台化されている。例えば、八犬士の中でも最強の信乃が、玉梓にその精神を乗っ取られようとして葛藤する場面や当の玉梓自身が、怨念を持ちこたえる為に自ら必死に怨み辛みを鼓舞する辺り、更には化け猫退治に出掛けた後の父は、最早実の父ではないと感づいて居ながら、親の形をし、その役割を演じている化け猫との間に悶着は起こしたくないと悶々と悩む大角の姿など、イデオロギーや時代、国を越えた人間の姿が描かれているのである。最近では殊に酷くなったアメリカの、何でも“愛”にすり替えて自らの実際の姿を隠蔽するアメリカ映画、アカデミー賞の欺瞞などとは雲泥の差である。(ミュージカルでも「ミスサイゴン」ではトンキン湾事件や、枯れ葉剤散布によるダイオキシン汚染、カーチス・ル・メイの命令によるジェノサイド、米軍によるベトナム人への拷問、虐殺等々、アメリカの犯した戦争犯罪については一切触れられず、単なる恋愛問題に収束させる精神のオゾマシサを露呈している他、Wajdi MOUAWAD原作の“L’incendies”がアカデミー賞を受賞しなかったのは、扱われている問題が、パレスチナでありシオニズムの本質を抉っているからだろう。)優れた文化というものは、時代にも為政者にも大衆にも阿ったりしない。ただ、無私の精神を通してヒトの本質とその可能性について優れたヴィジョンを提示するのである。
    今作でも、怨霊と化した玉梓に伏姫が、闘いの無い世を諭す。それは、逆説的に玉梓も述べていたことなのである。唯、玉梓の場合、それは、激しい怨念の為せる技であった。だが、物語全体の謂わば重石として機能しているのは、玉梓のこの怨念である。其処ら辺りが、凡百の駄作とは異なる点であろう。この肝心要の役、犬塚 信乃と玉梓は一人二役で金村 美波さんが好演している。ゝ大法師(金碗 大輔)役の清水 勝生さんの貫録もグー。
    殺陣の多い舞台で動きもあり、休憩を挟みはするものの3時間をちっとも長く感じさせない。

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    2015/06/01 19:31

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