パンクドランカー 公演情報 神奈川県演劇連盟「パンクドランカー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    メロコアとはまた違う・・・。
    神奈川県演劇連盟プロデュース TAK IN KAAT
    「パンクドランカー」
    作・緑慎一郎 演出:笹浦陽大 神奈川県芸術劇場 120分


    劇場に入った瞬間に高揚していく自分を感じる。舞台上にあるのはよくある?居酒屋風のセットと、そしてそこに存在感を放つライブ会場(厳密に言うとライブの舞台面)。
    冒頭の演奏シーンから役者の躍動感を持った演技が繰り広げられる。
    青春群像劇、神奈川では珍しくガッチリとしたエンターテイメント性を感じるお芝居。
    エンターテイメント性を感じさせるお芝居、というのは定義も広く、私も自分の中での定義付けとして難しく感じるが、この「パンクドランカー」は質の高いエンターテイメントの作品として成立していたように感じる。
    今回のネタは30代の半ばを過ぎた大人が中心で、当然音楽もその年代のものとなる。私も、少し上ではあるがその年代のパンクロックと言う音楽にハマっていた人間なので違和感はない。当時のメロコアブームの中で立ち上げたバンドの一つ、というのは納得のいく設定ではある。

    ネタバレBOX

    物語は15年前から始まる。4人の若者が実際のバンドを見た所から「自分達もやりたい!」という特に大きな志もないままにバンド(パンチドランカー)を始める。特に大きな理由がない、という安易さがその年代の若者の持つエネルギーの無尽蔵さを感じるのだが、当然それは終息も簡単で、ありがちなバンド内メンバーのケンカ、という理由がバンドを終えた理由だ。

    そして時間は変わり2014年。
    元メンバーが働く居酒屋に当時のメンバーやライバルバンドだったメンバーが集まることで物語は進んでいく。パンチドランカーのメンバーの一人(マサト)がバンドの解散ライブを行いたい、と言い始めるが、メンバーの一人、バクはそれに難色を示す。
    一瞬の再結成をしたいと言い出したメンバーには子供がおり、自分は足に骨肉腫が発生していることを告白する。それを知ったバクを含め周りのメンバーは再結成を決意して最後にライブを行う、というのが大きな筋である。
    しかしながらこのような群像劇を行うにはとても緻密な部分に目を光らせていかないといけない、と私は思っている。なぜなら、よくテレビや映画で見る青春物の類型的な演技で雰囲気だけが成立してしまう可能性が高いからだ。
    その為、いくつかの違和感を感じた部分はあった。ただし、これはあくまで私の一感想であるのでこれが気にならないという人ももちろん多くいるだろうと思う。
    居酒屋に集まったマサトは自分の事情は隠し、他のメンバー(アキ)がもう病気で長くないと嘘をつき、解散ライブを行おうと話し出す。その後、アキは元気に居酒屋に入ってくるのだが、他のメンバーはアキが病気であることを信じている、という場面がある。このチグハグさはおもしろいのだが、そうなると少し合点がいかない部分がある。再結成を反対しているが事情を聴いた上で葛藤しているバクはアキに対して「昔のことを謝ったら再結成してやってもいい」という言い方をするのだ。非常に好戦的な物言いで当然ながらケンカとなるのだが、アキの事情を知った上でそれを言うのだろうか?だとしたら事情を知ってまでアキを憎むバクのモチベーションはなんなのだろうか、という部分が気になってくる。しかも、当時のことを謝れ、といったのは自分の好きだった女性をアキが奪ってしまったことだったのだ。そしてその女性は久しぶりにでも会えたりする関係性でもある、という。そうなるとそこまでバンドの再結成を断り続ける、ということに若干のご都合主義を感じてしまう。
    とはいえ、ここは演出、本の解釈や役者の表現次第で解消できる部分ではあると思う。

    また、これは私の好みなのだが、既に社会に身を置き、もう一度青春をやり直したい、という芝居としては役者の年齢層が若干若すぎるように思う。バンドメンバーが全員20代中盤に見えてしまい、むしろ、高校時代の演技が合いすぎて、そこから時間が経過してから変わってしまったこと、それぞれのバンドに対する思いや葛藤が見えにくくなってしまった部分はあった。

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    2015/05/03 22:32

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