満足度★★★★★
個々の役者の個性が生きた秀作
今日3日の午後、サンモールスタジオで上演中の激嬢ユニットバス第2回公演『シュレディンガーの猫たち』を観に行った。
窓も鏡もない館に自覚無しに集められた葦原樹という漫画家・探検家・保育士・編集者・風俗嬢・大工・CA・主婦の8人の女性たち。8人相互では姿形は違うのだが、彼女たちは実は同じ葦原樹。人生で遭遇する選択肢によって派生した、それぞれの世界に生きてきた同一人物なのだった。
望むものは手に入るが決して出られない館がハコと称されるもので、実は集められた8人は現実の世界では今意識のない瀕死の状態であり、8人に内1人だけが最後に残り生き返るという事を知り、8人はそれぞれ自分が最後の1人になろうとする。お互いがお互いの人生の隠された過去や悲しみ・喜び・悩みを暴きあう。そして、最後に残って生き返ることになるのは・・・・・
まだ公演が残っているのでネタバレはやめておこう。
この個々の人生が暴かれる過程で、それぞれの役に扮した役者たちの個性がうまい具合に発揮され、観客から笑いや涙を起こさせるこの劇団の素晴らしさは、第1回公演以上の出来栄えではなかろうか。今回特に演技的に関心したのは、有栖川ソワレの演技に対する凄みと、ラストシーンで本物の涙を流しての演技が光っていた関根麻帆。
そのほか、うえのやまさおりも、1回公演同様に上手さが感じられた。
脚本や演出も良いのだろうが、この劇団、役者同士の演技のバランス感覚も素晴らしいなぁ。
この先も見続けていきたい劇団である。