少年は銃を抱く(満員御礼で終了しました。御感想お待ちしています) 公演情報 MU「少年は銃を抱く(満員御礼で終了しました。御感想お待ちしています)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    リア銃
    第一部の“少年たちの青い思考”、第二部の“自由人の家族たち”、
    そして第三部の“教師たちも普通の大人”という3つの視点が面白い。
    戦中に銃をくすねたというボケた祖父や、父親・叔父さんがいい味出してる。
    弾丸の入っていない古い拳銃を持ち歩くことで変貌していく若者たち。
    2時間半の長さを感じさせない展開で、何気に出てくる小さな笑いも外れなし。
    キャラの立った登場人物に存在感があり、
    10代の台詞にみずみずしさがあふれていて素晴らしい。
    個人的には”その先が知りたい”感満載のエンディングがちょっと物足りない。
    「お守り」は、いったい何を守ったのか…?

    ネタバレBOX

    第一部.少年たち
    16年前に歌手江口光が庭先で亡くなったことから「江口ハウス」と呼ばれ、
    ファンの聖地のようになった家のリビングが舞台。
    大きくとられた窓の外は庭、上手の入り口は玄関と2階への階段につながっている。
    そこに不登校児が集まりだし、オーナーの息子、高校生の光雄(小沢道成)は
    祖父が戦中くすねた拳銃を彼らに分配する。
    いじめに立ち向かうため、勇気を出すため、それぞれの目的のために銃を所持した彼らが
    1週間で劇的に変わる姿を見て、光雄はますますその力を確信する。

    第二部.家族たち
    江口ハウスのオーナーである光雄の父(成川友也)、その弟(大塚尚吾)、
    小説家の夢破れて実家へ帰って来た光雄の姉(真嶋一歌)、
    そもそも銃をくすねてきた祖父(小野塚老)、光雄の従兄弟晴臣(斉藤マッチュ)、
    光雄の家族は皆どこかねじが緩くて自分に甘い、言葉を換えれば柔軟。

    第三部.教師たち
    不登校児が集まる家として、学校から目の敵にされるようになった頃
    銃の存在が発覚、その出所を突き止めようと教師たちは躍起になる。
    校長は「あれはモデルガン」と言い張って逮捕者を出さずに幕引きを狙う。
    そんな時晴臣が、光雄の恋人恵美(小園茉奈)を傷つけた教師
    (山崎カズユキ)を撃ってしまう。
    その晴臣は、江口ハウスの庭にいたところを、二階から祖父に撃たれる…。

    お守りとは、精神的に頼るものであり、よりどころとなるものだ。
    それがいざという時に実行力を持ちうるものではあまりに危険すぎる。
    ましてや“強くなりたい”盛りの10代では、ただそれを握りしめて
    自己をコントロールするだけにとどめておくことがどれほど困難か、
    そこを想像できないところが若さだろう。

    第二部の家族たちが、少年たちを追いつめるタイプでないことがユニーク。
    息が詰まるような家庭に育ったわけではないがいろいろあって不登校、
    というのがリアルで共感できる。
    ステレオタイプでない家庭にしたところが、逆に根の深さを感じさせる。

    教師たちも、事なかれ主義で不道徳で、何となく穏便に収まるかと思ったところで
    やっぱり起こったか、という展開。
    衝撃的なのはその後のもう一件の事件だ。
    祖父が二階から孫の晴臣を撃ち殺し、その銃を持ったまま外へと出ていくところ。
    家から出られなかった認知症の祖父が、 お守りを手に外へ出ていく不気味さ。
    時折「敵が潜んでいる」と言う祖父が銃を手にする時、それはもはや
    「お守り」ではなく身を守るための明らかな「武器」である。

    光雄役の小沢道成さん、友人たちの変化に、興味が確信に変わるあたり、
    10代らしい好奇心と自信、暴走するアブナイ感満載で上手い。
    晴臣を演じた斉藤マッチュさん、人のものを欲しがる性格、
    また手に入れてしまうしたたかさがことばの端々ににじんでいる。
    晴臣に撃たれてしまう教師役の山崎カズユキさん、教師の中で一番生徒に近く、
    つまり大人になり切れないまま先生になっちゃった感がリアルで良い。

    「お守り」であり、それ以上でもそれ以下でもないはずの銃は、圧倒的な力を持っていた。
    その「武器」となりうるものを「お守り」とすることの危うさが際立つ脚本が秀逸。
    暴力的で虚しいエンディングに、「え?このあとあの人はどうなるの?」と思ったが
    この後の展開は社会に委ねられ、少年たちの夢は終わるのだ。
    作者の「答え」をそこに見る思いがした。

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    2015/03/29 10:40

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