生きることに
紛争、内戦、少年兵…そうした社会の中で、若者がもがきながら、如何に生きるかを探し求める姿が描かれていました。注目していた安藤聡海さんは、これまでの役柄とは違い、男・薬に身を落とす役どころに挑戦されていて、新鮮さと戸惑いを感じました。俳優さん女優さんの新たな一面を観られること、これも舞台の面白さですね。作品としては、脚本として展開が唐突だと感じる場面がいくつかありました。(市民【子ども】が被害に遭う場面など) セットも、紛争による破壊で廃墟に近い状態を表す意図なのか、長梯子を使った階段や建築現場の足場のようなもので、観る者としては不安を感じてしまい、楽しめませんでした。中央に置かれたバイクの演出も好みではありませんでした。魅力的だったのは、伊藤知香さんの演じる女性の母性。女と感じさせるセクシーさと、母性を漂わせる親族への愛情が見事に演じられていました。やはり宗教や文化や社会情勢というバックボーンが違う世界を描く作品の上演は悲劇のポイントを絞り込まないと難しいなと感じました。雑感として、なかなか席が埋まらない公演が多い中、たくさんのお客さんが詰めかけ、開場前には長蛇の列ができあがる人気ぶりに感心しました。