黄金のコメディフェスティバル2014 公演情報 黄金のコメディフェスティバル「黄金のコメディフェスティバル2014」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    殿はいつも殿を拝見
    公開録画を拝見した。最初に通しで上演してくれたので、通常の公演を観るのと同じ感覚で拝見できた。TVプロデューサーの暖かい配慮というべきだろう。グランプリは予想通り、昨年の「死が二人を分かつまで、愛し続けると誓います」に引き続き、ポップンマッシュルームチキン野郎が獲得したが、実力から言って妥当な所だと見る。(追記2014.10.1)

    ネタバレBOX


     彼はその素性を妻にさえ明かしていなかった。その為、妻は自分が本当に愛されていたのか否かさえ覚束ないのだ。彼は、小説家であった。息子が一人居るが、息子は父を蔑ろにしていた。小さな賞一度取っただけで、後は売れもせず、気難しい、作家肌の父を。そんな彼が、急逝した。妻と息子は、遺品を片付けていた。すると、妻宛てにと認められた長い原稿が見付かったのである。
     物語は、この原稿が劇化され、父の謎の人生がひもとかれるという形で紡がれてゆくが、この原稿の内容は奇妙奇天烈、父は、何万年も生きた人間だったと言うのである。或る時、彼の生まれた星は、敵味方に分かれて争い、彼と妹を除いて絶滅した。彼らは、長い宇宙の旅の果てに、故郷の星の住環境にそっくりな星を見付けた。其処に定住し何万年もの間過ごした。彼らの過ごした星は、生命エネルギーを全宇宙に振り撒いている謂わばマザープラネットだった。
    そう言えば奇妙なことが起こったのだ。彼らの乗った宇宙船が、この星の影響下に入ってからは船内の薬缶、テーブル、観葉植物、ぬいぐるみ総てが生命を宿し、喋ったり動いたりするようになった。そして、彼らは、マザープラネットに着陸する際、強烈な閃光を2度浴びた。その後、兄妹は、不死身の体を手に入れていた。同時に、永遠に生きるという宿命を。長い長い時を経て、兄は、殿さまになってみたい、と考えた。そして、下剋上の頃、実際に小藩の殿さま、宗肉になった。彼は家康と気脈を通じ、数十年の付き合いを続けるうち、肝胆相照らす仲になったが、家康は征夷大将軍となり、宗肉は小藩の殿のまま。それでも家康にとっては、心許せる数少ない友故、ある時、城へ呼ばれ無礼講となったが、初老を迎えて家康のつむりに白い物や抜けが目立ち始めたことをからかった所、切腹を命ぜられた。然し、宗肉は不死身故、死ぬことは不可能である。だが、切腹しなければお家断絶。これは死ななければと家臣一同、必死の努力をし、予行演習をするが、総て試みは無駄に終わる。折も折、切腹見届け仕る、とばかりに目付けが派遣される。当日には家康本人がやって来た。然し、家康の眼前で介錯も含め何度もトライした切腹は総て失敗。挙句、業を煮やした家康は、宗肉の家臣共々全員の殺害を命じたから、自分だけなら死んで事態を収拾しようとしていた宗肉も反旗を翻すこととなった。結果、家康は討ち取られ、宗肉が家康になり済ますこととなった。その後は、史的には、1605年に将軍職を息子の秀忠に譲って駿府に戻り大御所として二元政治を執り行ったが、今作では楽隠居を決め込んだことになっている。
    ところで、息子は、父の出生等に関しても調べてくれるように手配していた。その結果は、父は、林業を営む両親のもとに1954年に生まれた。妹が一人の四人家族であった。決して裕福ではないものの、取り立てて貧しい訳でも無く、一家は平穏に暮らしていた。父が10歳の時、出先から、戻った彼の眼前にあった物、それは、両親と妹が無残に殺され血だらけになった家であった。強盗に襲われ、家に居た全員が惨殺されたのである。父は、孤児院送りとなって院を出る迄を過ごした。辛い過去から立ち直る為だったのか否か、小説を書き出し、母と出会った。その後は、母の知る通りである。不思議なことに、丁度、母と出会った頃から父も、普通の人と同じように年をとり、老けるようになった。きっと、かつて浴びた強烈な生命エネルギーが尽きたのだろう。何れによ、母と出会って、死ぬことが出来る生を得たのであり、息子を設け、小さい乍ら賞を取ることもできた小説を書くことも出来た。それは、総て、妻に読んで貰う為であった。
    こんなことが、この手記には記されていた。

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    2014/09/30 06:02

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