満足度★★★★★
藤吉、また腕をあげたな
いささかめんどくさいオンナ・雛子とやや内向的な足立君の大学生カップルの恋の顛末…。
前作よりコメディ色が濃い前半はベタ・類型的でツッ込みどころもいくつかあるがイキオイがあってグイグイ引っ張るし、後半は従来通りのいかにも女性作家、な部分に加えてオトコのキモチをズバリ表現してドキリ…もとい、ズッキュンとさせて(笑)見事。
終盤、全員が揃った時にアンによって語られる(台本66ページね)足立君に、同じ“そっち系男子(謎)”として甚く共感したのはσ(^-^)だけではあるまい。
また、そこに至るまで上手く彼を出さないワザはもはやお手のものだろうが、今回はあの場面で彼が確かに「いる」と感じたのだ。
そして、表見上は雛子が主役、アンが準主役のようだけれど、本当の主役は1度も舞台上に登場しないが、雛子に引け目を感じ、母からは思う通りの枠にはめこまれようとされている中から自分の進む道を見出した足立君なのではないか?
さらに、最初は併走しているパン屋のハナシと女子大学生のハナシ、両者の接点を察するヒントを出し、その後に明かすタイミングも的確だし、明かした後も基本は併走で、全員がやっと集結したところでクライマックスを迎える構造がまた巧い。
そんな中に前作も観ていた観客への目くばせまで仕込んで、藤吉主宰、劇作家としてまた腕をあげたな。
あと、くまゆか嬢の設定、最初は「え、それはどうよ?」と思ったけれど、ある場面で説得力のある演技を見せられて得心がいった。(注:普段からそういう印象がある、ということでは決してない)
ところで劇中登場した「中にはメロンクリームが入ったメロンパン」、実際に具体的なモデルがあるのだろうか?