女王の盲景 公演情報 空想組曲「女王の盲景」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    2014年の初観劇はコレ
    面白いことは面白かったんだけど、なんかこう…あともうちょっと!って感じ。何でかな。
    ストーリーはもちろん、衣装や舞台美術も目指すところはよく判るし、なかなか素敵に仕上がっているともおもうのだ。

    ネタバレBOX

    とにかく一番つよく感じたのは、「草薙が可哀想すぎる」こと。
    人生のほぼすべてを捧げていたと言っていいほどの献身だというのに、何一つ報われない。
    劇中での活躍は人一倍で、彼女の芸達者ぶりがみどころの大きな目玉だというのに、役柄としてもまったく掘り下げられないなんて…。
    男性で、しかもお若い脚本家には顧みられないキャラクターなのかしら(涙)

    キッチンに用意された朝食が一人分多いことで「この家に誰かもう一人いる」と仄めかすエピソードがあったのに、ほのかが起きるのは午後からだという話があったり、「窓の無い部屋」のはずなのに「鳥が入ってきた!」という咄嗟の噓をまったく疑わないとか、色々矛盾があって気になったせいかしらん。
    それを言うなら、草薙が一人何役も演じているのをほのかが気づかない訳がなかろう!と突っ込みたい。盲人は音や気配に敏感なはずなんだから。
    ほのかが自ら望んだ噓だから、無意識に気づかないふりで騙されているのだという説もあるけど、うーーん。

    少女のために嘘をつき、監禁して世界を作り上げる。
    そういう物語はよくあるが、結末はその噓や世界が破綻するのが殆どだとおもう。
    というか、噓の世界がほころび始めるところから、破綻するまでが「物語」なのだな。フム。
    「誰も死なない世界」という噓は、もう破綻することが目に見えているのに。
    嘘をつき始めた時はまだ慶一郎も少年だったから、きっと「ずっと先」のことだとおもったのかも知れないね。そして噓を信じたほのかが、数十年を経て少女のままなのと同じく自分もそうあれたらとおもっていたのかも…。
    年老いた慶一郎の手をとった時の、ほのかの叫び声が残酷だ。
    若いハイジよりも老慶一郎に一歩近い年齢のアタシにも、さっくりとココロに刺さる。

    結局、ほのかは老慶一郎と手に手を取り消えていく。
    あのふたりにとってはハッピーエンドだけれど…(ハイジも高遠もまだいいよ?でも…)
    ラスト、その後についてハイジが語るシーンは蛇足。無い方が叙情的かと。
    そうそう、レビューをいくつか読んで知ったのだけど、リンゴの香りの演出があったらしい。
    しかしアタシはまったく気づかず…。アタシの鼻がバカなのか、一番後ろまでは香りが届かなかったのか…。


    ハイジ役の和田くん、イケメン枠で期待してなかったけど、わりとちゃんとした役者さんだった。すらりとして、本当にイケメンだった(たぶん。最後列からだったので、よく見えなかった)なぜ役名がハイジなの? 草薙がロッテンマイヤーさんだから?

    老慶一郎の大門さん、ベテランさんなのだろうけど随分と噛んでいて気になった。この日だけ? 噛む以外はとても良かったんだけど。

    草薙の小玉さん。まさに彼女の芸を堪能するための芝居。演じ分けもさすが。老慶一郎への想いがちらと描かれていたけれど、その後全くスルーで悲しすぎる! 一番笑いを取っていたけれど、一番悲しい役だった。母娘で慶一郎を養ってあげたのに…。

    高遠のかじもん。おもったより出番が少なかったけどよかった。ハイジ(こちら)側と、特殊な屋敷の世界とを橋渡しする役。おちゃらけているけど、実は過去に傷を持つ切ないお医者さん。彼のその後も気になるわ…。

    ほのかの青木嬢、まだ二十歳ということでまだ青いかな~。叫び声が耳に厳しかった。

    0

    2014/06/13 03:05

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大