浮世(うつつ)けもん 公演情報 劇団禄盟漢「浮世(うつつ)けもん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    このまま修業を積めば、必ず伸びる
     二回目の公演でこれだけの質であれば立派なものだ。シナリオ、演出共に、大筋で演者が可也自然な演技ができるほどしっかりしている。中盤から終盤に入る明転の際、一瞬実際の賢そうな目つきを見せた以外は、はるのうつけ演技が効いて作品全体の重石として作用しており、他の役者も自然でありながら、其々のキャラクターをキチンと出している。特に、お富役、成吉役が気に入った。文左衛門役も若い割に憎まれ役をキチンと演じているし忠兵衛役も良い。無論、他の役者も総じて上手い。(追記2014.5.7)

    ネタバレBOX

     この町で最も貧乏な連中の集まる長屋で馬糞を拾って暮らしを立てている次郎の部屋には、浪人者の世之助、世之助の馴染みで夜鷹のお富が出入りしているが、唯でさえ貧しい次郎の居室へ新たな客が舞い込んだ。はるは、自分の名が言える程度で、あとは子供同様のうつけ。要は、貧乏長屋に似合いの少女だが、自分で働けない分お荷物少女である。連れて来た世之助は無論、責任など取らない。お富も自分には、関わりのないこと、とすげない。仕方なしに優しい次郎が面倒を見ると言ったが、彼には実際それだけの収入はキツイ。そこで、助け舟を出したのがお富である。表面上、厳しいことを言う彼女だが、実は優しい気立てのよい女である。ただ、長屋の連中が余りにもだらしないので厳しい言い方をするだけだ。
     ところで世之助は、はるを拾った日、道場に通っていた時からの旧友、成吉に会っていた。彼は現在、長崎奉行所に出仕し出島で仕事をしているが、江戸に久しぶりに出て来たのである。一文の金にも困っている世之助の様子からそれと察して、奉公先を斡旋する話などもしてくれたのだが、友人に恥を晒したくない世之助の見栄から、この時は、その話、立ち消えになった。だが、そこは、貧乏に洗われた世之助、再会を約して別れたのである。その時、世之助が仕込んだ話題がいくつかある。外国との取引が増えた為、取引に当たってレート換算等をする算術方が足りない話、世之助に算術が出来るか否かの確認、見回り役の与力の口などである。だが、警護をする与力には、刀が必要だ。世之助の腰の物は竹光であった。偶々、捨て子を引き取り面倒を見る者への報奨金という形でお上からは、金が出た。これを元手に大金を稼ぎ、刀を買う段取りを立てるが、その方法たるや、博打である。案の定、載せられてすってんてんどころか借金迄拵えて、命を狙われる始末。ホウホウノ体で長屋へ逃げ帰ったものの、ヤクザ達は、直ぐそこまで迫って「金を払わなければ、殺してやる」と息巻いている。役所から手に入れた二分を蘭学の出来る者を雇う、との布令で知った次郎のたっての頼みを断っておきながら、自分の命が危なくなったとみるや、たかがヤクザ相手に武士ともあろう者が怖気付き、土下座をして金を乞う。世之助たる所以である。偶々、受験の為に、持っていた唯一の金目の品、本を売ろうかどうか悩んだ末、売っても受験の際に掛かる金に足りないので売らずにおいた本を、世之助の為に売り、用立ててやる。これで命拾いした世之助であったが、返したくとも返す当ては無い。それでも、自分の仕官や蘭学の出来る次郎にも口があるかも知れぬ、と成吉に会って話をすると算術が出来る者が不足していることが分かった。自身は刀が買えないので仕官の道は諦めたものの、次郎には大きな恩がある。そこで算盤が出来るか否かを確認すると、全く駄目。世之助が教師を買って出るが、どうも怪しい。お富が、算盤の教本を、陰になり日向になりはるにおもちゃなどを持ってくる、お鈴に用意できるか訊ねると出来るとの答え。彼女の着物、立ち居振る舞いから、良い所の出だと見抜いていたお富、彼女に算盤が出来ることも確かめ、次郎の教師を頼む。但し、成吉が次に長屋へ来る一週間後迄に、算盤を使いこなせなければ推薦しては貰えない。頗る優秀な教師、鈴の下、能力の高い次郎は、僅か一週間で長足の進歩を遂げたが、登用には流石にスピードで未だ追いつかないものがあった。あと一週間あれば、どうにかなったかも知れないが、残念乍ら、武士ではない次郎の登用話は、途切れて仕舞った。然し、はなには、特技があった。文左衛門は、その特技故にはなを欲しがったのである。彼女はサヴァン症候群特有の特技で、暗算の才能が図抜けていた。偶々、試験を終えた次郎の部屋へ顔を出した彼女は成吉の出す問いに易々と答え、総て正解。そのスピードは驚異的であった為、すぐさま彼女を登用する話がまとまる。
     一方、はるは文左衛門と鈴の娘であり、はるを道具として用いようとする文左衛門の非人間性と衝突して夫婦関係がぎくしゃくしていたのだが、文左衛門は、三下り半をどうしても鈴に渡そうとしない。はるを自分の所へ寄こせば書いてやる、との一点張りなのである。これを救ったのが、忠兵衛ら長屋の一行。世之助ももとは、文左衛門の下で働いていた関係で、忠兵衛の持ち出してきた法度を用いて、文左衛門の親権を合法的に奪うことに成功する。この辺りのやりとりも武士の作った法規に則って、逆に目上の者を虚仮にするという遣り方だから胸のすく観客も多かろう。「神聖喜劇」のような展開である。
     しゃちこばった馬鹿を虚仮にするのは、面白いのだが、しゃちこばってはいても、安倍のような本物の馬鹿ではないから、理屈でやり込められれば、それで引っ込む所が可愛いのだが、馬鹿も安倍程になると、己の間違いを認めることすらできない。こんな馬鹿をどうすれば退治できるか、知恵を捻らねばならない。安倍流にやれば、嘘をつけば済むのだが、プライドが許さないやね!

    1

    2014/05/07 05:42

    0

    0

  •  益々、磨きを掛けて下さい。くれぐれも健康には気をつけて。

    2014/05/07 23:14

このページのQRコードです。

拡大