フライトNo.2037 公演情報 フランス演劇クレアシオン「フライトNo.2037」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    侵略国家、アメリカ
     イラク戦争にしてもベトナム戦争にしてもTPPのような経済侵略にしても、デッチあげのマッチポンプで戦争を仕掛けて自国産業を潤し、他国の人々を虫けらのように虐殺して恥じないアメリカの懲りない本質が描かれて面白い。9.11疑惑については自国民であるが、何れにせよ、緊迫感のある舞台に仕上がっている。

    ネタバレBOX

    ケネディー空港を飛び立つ2037便は、ジュネーブ行き。妻が凍った地面で足を滑らせ足指を骨折した為搭乗をキャンセルした老夫婦を除く、乗客141名、機長以下乗員11名のクルー計152名を載せてほぼ定刻に離陸した。
     離陸後1時間ほどでコクピットに機体の異常を知らせるサインが点った。貨物室の電気系統がショートを起こした模様だが、機長は、総ての回線は二重に敷設されている為、大した心配はいらないと判断を下すが、念の為、スチュワーデスだけには連絡、客の機内持ち込み手荷物が落下して怪我をしたりしないよう、それとなく注意を促すことや、出されていた飲料カップの回収、いざという時、通路を塞ぐことがないよう夕食の手配をずらすことなどを指示した。スチュワーデスは、無論、その辺りを上手にこなし、乱気流の発生地帯に入るのでシートベルトをお締め下さい、とアピール、緊急体制をとった。
     然し、事態は益々悪化。機は空港に引き返さざるを得なくなり、直ぐに管制塔に連絡。緊急体制を整えて貰う。操縦席には白煙が立ち込め、手動操縦も難しいが、頗る優秀な機長は、可能なあらゆる手段をとる。管制塔と機の間で交わされる緊迫した交信が緊迫感をいや増す。
     然し、電気系統の損壊は益々激しく、機は、機長、副操縦士の指示に一切、反応しない。終に交信も不能になった。数秒後、レーダーの視界からも機影は消えた。チーフ管制官は、緊急体制解除を通告。緊急事態に対応していた管制官は仕事を終えた。
     以上が、フライトNO.2037事故の顛末である。当然のことながら、事故後、救難体制が取られ、事故調査が進められたが、海中40mに没した機体から引き上げられたフライトレコーダー、ボイスレコーダーの綿密な解析によっても事故の原因は解明されぬまま、悲惨な航空機事故の1ページを増やしたに過ぎなかった。
     然し、こんな噂が立った。アメリカ航空会最大手ファストネット社によるヨーロッパの新興企業アビアトランス社追い落とし、だ。アビアトランス社がこのフライトに成功すれば、アメリカ国内だけで130機に及ぶ機体発注を受ける瀬戸際であった。ライバルであるファストネット社にとっては大打撃である。そこで、事故に見せ掛けてアビアトランス機を墜落させ、機体への信頼を失わせることによる契約解除を狙った。これが、噂が示唆したことだ。して、事実は、噂通りであった。実際、ファストネット社は、プロを雇いアビアトランス社の攻勢を封じる為に、この「事故」を仕組んだのである。貨物室に特殊な装置を仕掛け、ファストネット社会長の最終決定が下れば、装置を作動させることになっていたのだ。事故に見せかける為、管制塔に連絡を取り、墜落までの模様が証拠として残るよう綿密に機体破戒工作は仕組まれていた。無論、空港迄無事に戻れない算段もしてあった。賽は投げられ目論見は成功。機は墜落してアビアトランス社の名声は地に墜ちた。
     追い打ちを掛けるようにファストネット会長は、航空業界を代表して悔やみを述べる。その席で彼は、自社製品の売り込みを掛け、アビアトランス社に事故原因究明迄の営業自粛を要請、自社に不足分を補う用意があることを告げる。
     

    0

    2014/04/19 16:52

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大