観客熱狂で呼び出される『マンマミーア!』の「リピート回数」
千秋楽の回、既にカーテンコールは4度目であった。
熱気に沸き立つ観客。
どこで入手したらやペンライトを握り、前方は総スタンディングオベーション。
「せ〜の……ありがとうございました!」と、頭を下げていたのが主演・渡辺 瞳だ。
舞台通M氏は苦言を呈す。
「前列に座るリピーター客が求めているのは一種のトーク。
ミュージカル養成所が母体だから、友人、保護者が大挙して集まったはず。笑顔をみせ、手を振って、幕が降りたら“はい、おしまい”だと、日頃から支えてる分、不満が残るでしょう」
老舗『ミュージカル座』が定期的に公演場所に選ぶ「六行会ホール」。
「Succeed Project」の本公演『FLY ME TO THE DREAM ~夢の欠片の向こう側~ 』 は、まるで同座を含む先達ミュージカル劇団へのリスペクトだった。
使用したミュージカル楽曲は『ミュージカル赤毛のアン』『レ・ミゼラブル』『マンマミーア!』などなど。
全寮制ミュージカル専門学校生徒に扮したキャスト陣が、忠実に唄って踊る。
「物語は ありきたり。男性インストラクターとの恋模様は、20代に向かって投げた球かな」
赤ふんどしを締めたイケメンの生尻を、渡辺 瞳がビシビシ叩く衝撃場面も。
「女子高校生は美術教師(役)の尻を叩かないでしょ。
笑い声が少なかったのが気になる。
女性客は引いちゃった」
「劇団スタッフにも疑問を持ってるんです。遅れた客へ『視界の妨げにならないよう頭を低くしてください』と要求するのはいい。ただし、なかには“四つん這い”で這っていく若い客も。
『そこまでしろ!』とは言ってないけど、真面目な人は結構いますからね」
挿入歌を聴けば、あの頃のミュージカル映画が思い浮かぶ。
カップルで鑑賞していた観客も、一人で録画再生した観客も。
むしろ、「偉大なミュージカル」を 紹介するダイジェスト版のようだが、残念ながらオリジナル・ミュージカルは記憶に残らなかった。