あの時お母さんが「コウちゃんの事、好きでいていい?」と呟いて、僕をギュウ―って抱きしめたんだ。 公演情報 TomTomTom「あの時お母さんが「コウちゃんの事、好きでいていい?」と呟いて、僕をギュウ―って抱きしめたんだ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素材もコックも素敵に豪華なB級風芝居
    コントでも観にいくような気分で気軽に足を運んだら、
    実際コントライブをやるような雰囲気での舞台が、
    あれよという間にとんでもないクオリティでのお芝居に至り
    驚かされました。



    ネタバレBOX

    3人の役者がたくさんのロールを演じていくのですが、
    その一つずつが、コントなどであるような表層の「態」ではなく
    がっつりと丁寧に作りこまれキャラクターの実存感を醸し出していて。
    衣装の早変わりなどで作られた雰囲気もあるのですが、
    そのなかに、ロールごとのまったくことなる性格や、想いの色が
    観る側を捉えるに十分すぎる解像度と彩をもって描かれておりました。


    物語の組み方も本当にしたたかで、
    コント的なラフさやいい加減さもありつつ、
    学祭でのライブ演奏に向かっての物語の流れを作ることで、
    エピソードの差し入れも、キャラクターの必然性もしっかりと担保され
    脂の乗った役者たちのそれぞれの引き出しの豊かさや魅力が
    物語を軸として、したたかにてんこ盛りで導き出されていて。
    ウィットも冴えつつ、
    バンドの顛末や、周りの人々のありようも絶妙のバランスで置かれ、
    ラス前のライブシーンが物語をしっかりと突き抜けさせる。

    ライブ後のワンシーンから導き出される
    ロールの距離感や素顔も実によい。
    終わってみれば、コント的な舞台の風情が
    さして形を変えることもなく
    秀逸なプチ群像劇に至っていて。
    B級風の舞台が、
    役者たちの演じる手練と作演の物語を組み上げるセンスの洗練が互いの力を照らし出す、極上のお芝居に変身しておりました。

    なんというか・・・、作品を堪能しつつ、
    場末の居酒屋で三ツ星シェフが素材を吟味してつくったお通しを出されたような驚きが残って。
    ホント、観ることができてよかったです。









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    2013/12/01 08:08

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