あんかけフラミンゴ11【ご来場ありがとうございました】 公演情報 あんかけフラミンゴ「あんかけフラミンゴ11【ご来場ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    サイケデリックな純愛物語。
    演劇を観て、終演後にこんなに大号泣したのは初めてです。観ている途中から首から肩に掛けて震えてきて、それが徐々に降りてきて終盤には足の指先までが震えて。カーテンコール後も席を立てなくて、ロビーに出てから大号泣。心臓が痩せる思いでした。何にこんなに心を震わされたのかなと考えると、実際明確な答えは出ません。薄暗い照明の中、互いへの思いを必死に伝える恋人達の姿、妊娠を巡る様々な愛憎、それらがこちらが正気を失うギリギリのラインで、空間を斬り裂く様に表現されていて。脚本の巧みさと、困難な表現に役者さんの精神を引き上げる演出を観ていて、ああ、島田さんて物凄い天才なんだなと思い知りました。物語的に、女性としてお腹が痛くなる舞台でしたが、演じる女優さん達はもっと精神を削っていることでしょう。命懸けの舞台を見た結果が、あの号泣だったのかななんて振り返って思います。

    ネタバレBOX

    最初に着ぐるみで前説をする島田さん、その後に同じ着ぐるみのもさもさ頭で登場する皓太くん・・・「ああ、また元カノへの未練たらたらのお話なのね」なんて思ったのが大間違いで、序盤こそそんな流れで始まったものの、同じ言葉を何度も繰り返す果てしないサイケデリックな愛の物語へと展開する様に、壮大なミスリードをさせられたことに気付いて、なんだかしてやられた感(笑)

    主人公は、母親を難産で亡くした男。その死のきっかけになり障がい児として産まれた妹を憎み、首を絞めながらも勃起をする小児性愛者であるため、恋人(あかり)が女児を産むことを恐れてセックスが出来ずにいる。しかし、心の底からあかりを愛していて、セックス以外なら何でもするからと懸命に愛を伝えるけれど、あかりはその言葉では満たされず、セックスがしたい、子供がほしいと願い、果てはレイプのように精液を奪い、妊娠してそれが女児であったためにその子供を堕ろし、狂ってしまう・・・。

    舞台上ではオーラルセックスや半裸、そして経血等のエグいシーンが続きますが、それらの刺激的な表現を陵駕するような、心が引き裂かれるばかりの二人の純愛・・・。それを見事に演技に昇華させた笹木皓太くん・井上千裕さんが素晴らしかったです。皓太くんの眼光は同世代の追随を許さない鋭さ。色々な劇団で彼を観る機会がありますが、やはりホームでの芝居が彼の良さを一番引き出してくれるなぁと感じます。

    そして女性として痛みを伴うのは、やはり妊娠を巡る女性達の思い。妊娠と婦人科系の病気では口に出せない不安や悩みを抱える人はかなり多く、実際に悩んでいる方に迂闊に声を掛けられないほどのメンタル的なファクターなので、そこにLINEという現在HOTな媒体を通して描くことの難しさ・・・そこを乗り越えられたのは、内海詩野さん・大森茉利子さんを始め、やはり命を削って真実を演技に載せている方達の力が大きいなと思うのです。若干24歳の男性である島田さんがこの物語を説得力あるものとして表現できることが出来たのは、間違いなく周囲の女性達の影響かと。

    あんかけフラミンゴの作品は第2回本公演から観ていますが、ここまで島田さんの作家性に焦点を当てて観させられた作品は初めてです。これからも女性に脚本を書かされ、生々しい感情を演劇にぶつける作家さんなのかもしれませんね。次回作も楽しみです!

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    2013/10/14 19:31

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