満足度★★★★
あなたの戯曲で演じるのは難しいわ・・・ほとんど行動がないんだもの。私はかもめ。
あなたの戯曲で演じるのは難しいわ・・・ほとんど行動がないんだもの。私はかもめ。
飛龍伝は,非常におもしろかった。まだ,いろいろな疑問点はあるが,つかこうへいの世界に一歩だけ進めたかもしれない。
今回,劇場MOMO(中野)では,ほんのささやかな感謝祭が行われていた。アフター・トークですら,あまり参加しなかったので,このような企画で本当のところ,何か得られるのだろうか。実際,飛び込んでみたら,観客もまばらだった。しかし,これが,意外とおもしろかった。演劇では,即興劇というのがあるらしいが,それが,どのようなものか,体験していない。今回,劇場MOMOで,行われたものが,本当の即興劇に該当するのかわからない。しかし,その片鱗は理解できた。
つかこうへいの「飛龍伝」には,名場面はいくつかあった。そこで,場面を任意に選ぶことにする。参加者は,自分の台詞を提案する。これは,何でもいいらしい。まちがって,舞台ができにくいようなものでも構わない。早口言葉でもいいだろうし,AKBやら,ホームラン競争の話題でも,いい。あまり長いと敬遠される。直前に,少しだけメンバーに打ち合わせをさせた。あとは,なりゆきで,舞台を作る。舞台そでで,演出家は,お題がすべて完全に消化されたかチェックする。さらに,舞台全体が上手にできたか,となる。
即興で芝居を,役者たちにまかせる。さらに,お題は,観客からに気まぐれなメモ。となると,本当のところ,このような訓練・実験は,つまるところどういう意味があるのか。舞台において,度胸がつき,アドリブも交えて切り抜ける訓練になるかもしれない。ただ,どのような広がりを役者のもたらすものか,少し考えてしまう。しかし,実演されたものを見ると,おもしろいものが多かった。舞台一般にある,風習みたいなものかもしれない。私のお題も,なんとなく収まった。私は,かもめでしめてくれた。すごい,かもめ!
そもそも,どうして,飛龍伝なの。なんのこと,飛龍!って,どこから来てるのかしら・・・それは,投石の逸話から。
闘争博物館の場面
山形第一高校の修学旅行の生徒の会話
でも,“飛龍”があの人に投げてもらいたがっているんです。
全学連とは,機動隊とは,・・・
憲法第九条では,もう戦争しないはず,なのに,「安保」とは,何を意味するのか。
“飛龍”だ。あの石だ。父さん,“飛龍”ですよ。
“飛龍”が父さんに,もう一度投げてもらいたいって泣いているんですよ。
その手から,放たれ,光の尾を曳きながら,うなりをあげて一直線に機動隊の楯を打ち砕いてゆく,“飛龍”の勇姿を。
(中学三年生用童話 飛龍伝から,一部抜粋)
東京周辺には,相模大野と,上石神井に,良質の採石場があった。
上石神井駅では,枕木を支える石は硬い。機動隊の楯に当たっても負けない。
比較的重量が軽く,投げやすいと,女性闘士や,デモ初心者に好まれた。
より硬く,より軽く,より遠くに飛ぶ石を。
“飛龍”には,性別があって,メスだった・・・
それが,新事実なのですか?
もうすぐ,陽が落ちる。それまで,持ち答えるんだ。そうすれば,そうすれば,あの石さえ飛べば。
機動隊の奴らは,この石を“飛龍”って呼んで怯えていたものさ。“飛龍”が舞う。
ジュラルミンに当たると,パーッ,抜け目なく火花を散らす。
(初級革命講座 飛龍伝 小説 つかこうへい,トレンドシェア)