劇団だるま座本公演「笑って死んでくれ」 公演情報 劇団だるま座「劇団だるま座本公演「笑って死んでくれ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    成仏できない…
    座・高円寺の企画、4人の新進劇作家シリーズ第4弾。
    当日パンフの中にあった劇作家座談会の中で、相馬氏が語る作品の趣旨が素晴らしく
    観劇後に読んでちょっとびっくりした。
    その思いが作品に上手く投影されていないことが残念。
    役者陣はよく応えているが、それだけに吸引力に欠ける作・演出が長く感じられた。

    ネタバレBOX

    劇場に入ると中央に丸い舞台がしつらえてあり、それを客席が三方から囲んでいる。
    丸舞台の周囲に役者さんが点在していて
    お笑い芸人として客いじりも入れつつ漫才(昔ながらの)みたいな物をやっている。
    それがこなれていないので何だか居心地が悪い。

    話は“成仏出来ない浮遊たち”の物語である。
    一方は“心から笑わなければ成仏出来ない”現代の浮遊たち、
    もう一方は“笑わせて満足しなければ成仏出来ない”慰問団「笑わし隊」の浮遊で、
    どちらも何とかしてとにかく成仏したいと躍起になるという話である。
    慰問団のリーダーの落語家(剣持直明)は、芸は下手だが顔が面白くて人気があった。
    彼は戦争中「笑わし隊」として中国へ慰問に行き、
    そこで死を目前にした兵隊たちが必死に笑ってくれた“ウケ”が忘れられない。
    あの快感をもう一度、と遮二無二芸を披露するが基本的に下手なので
    現代人の厳しいお笑いセンスにはなかなか届かず、どちらもなかなか成仏出来ない…。

    このあらすじがしばらく見えてこない前半が非常にもどかしい。
    “ヘタなギャグをかます芸人“の役だから面白くないのは当然なのだが
    浮遊たちも笑えなくて成仏できないけれど、観ている私たちも成仏出来ない。
    この笑えないパートが長くて興味を削がれてしまう。
    後半落語家の妻(松生綾美)や息子(青山伊津美)、
    それに戦地で彼のモノマネをしていたファンの兵隊(中嶋ベン)らが登場して
    ようやく物語が動き出した感じ。
    小屋番を演じるすだあきらさんが飄々とした味わいで面白かった。

    このモノマネをしていた兵隊は戦死して、
    落語家は軍から乞われて、彼の遺骨の前で落語を披露する。
    この“人生で一番悲しい落語だった”というエピソードなどは史実でもあり秀逸。
    現代人も慰問団も、“浮遊”している理由は“笑えない・笑わせられない”である。
    彼らの個々の人生がもっと深く描かれたら、作者が座談会で語っているように
    「笑いに乗り切れないために生きづらくなっている人」の悲哀が切実に描かれると思う。

    剣持さんは下手な芸人を演じることで、逆に上手さが際立っていたが
    2時間以上の長い舞台を支えたのは役者さんの力量だろう。
    このストーリーを少し違う台詞、演出、1時間半くらいで観たいと思った。

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    2013/08/16 14:02

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  • コメントありがとうございます。

    ご来場ありがとうございました!

    2時間20分のお芝居を本当にしっかりと観ていただきとてもうれしく思います。
    まだまだ、精進していかなければなりません!
    頑張って参ります。

    今後も何卒よろしくお願いいたします。

    2013/08/17 14:48

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