満足度★★★
アカペラ歌喜劇
「歌喜劇」と銘打った、随所で歌が入るコメディー作品で、後に何も残らない様などうでも良い物語を中年男性7人が本気で演じているのが楽しかったです。
ヤクザの親玉の身代わりに刑務所に入っていた男が出所し、裏稼業から足を洗って居酒屋のアルバイトを始める話で、感動させる場面も入れずにひたすら笑いを取ろうとする潔さと緩さが気持ち良かったです。
ドタバタな展開で台詞も大きな声だったのに、うるささが感じられなかったのが不思議でした。
歌喜劇という名の通り、ミュージカルのパロディー的な歌が沢山あるものの、全て伴奏無しのアカペラで歌われ、独特の雰囲気がありました。
馬鹿馬鹿しい内容にも関わらず演技は手を抜いていなくて、それぞれの役者が複数の役をキャラクターをはっきり打ち出しつつ演じて分けていました。
特に松之木天辺さんが演じた、ラジカセから流れる音楽に乗せてホットパンツ姿でベジャール版『ボレロ』を本格的に踊る謎の人物のインパクトが強烈でした。
会場は、赤のベルベット生地の椅子やエンボス柄の壁紙等、古びた昭和の雰囲気が色濃く残る内装のパブで、くだらない内容にマッチしていました。バーカウンターや入口のドアも巧みに劇中に取り込んで使っていて印象的でした。