蒲田行進曲 公演情報 インソムニア「蒲田行進曲」の観てきた!クチコミとコメント

  • 日活黄金期を思い起こさせる、「生き様」論


    今作は、劇作家・つかこうへい原作のもと公開された、映画『蒲田行進曲』に脚色したストーリー構成である。
    脚色は、『劇団チョコレートケーキ』の主宰であり、近年、重厚な社会派の舞台を造り続ける古川氏だ。

    今でこそ、俳優が番宣目的でバラエティ番組に出演することは当たり前の時代ではあるが、石原裕次郎の全盛期と重なる“日活黄金期”
    の頃は格別の存在であった。
    “銀幕のパールライン”と称された、浅丘ルリ子。私は日活の撮影所が設営されていた調布市で『アカシヤの雨』を鑑賞したことがある。当時の日本人男性の平均身長は150センチ台、多くの国民は地方で暮らしていた。昭和初期まで、新潟県が東京都を押さえ、最大人口を有していた事実からも伺える。
    ところが、『アカシヤの雨』に出演する高橋英樹に関しては身長180センチ程度あると見受けられ、主演の浅丘ルリ子も都会的な雰囲気が漂う。幾度となく、夜の銀座のシーンが流れる。

    帝国劇場や宝塚歌劇団の舞台俳優と明らかに違うのは、“銀幕俳優”は観客にとって日常の生活とはかけ離れた存在だったという点ではないか。
    仏・シャルル・ドゴールの大統領選選挙ポスターが国中の田舎にも貼られたように、映画は地方都市の人間も含めて鑑賞できるエンターテイメントだったからである。
    舞台俳優が有楽町や、宝塚市を中心とした都市的なものであったのに対し、映画は占領下の沖縄を除き普遍的であり、鑑賞する人々も また庶民だった。


    戦後、テレビ放送のアメリカホームドラマに接するなかで、日本人は米国式生活に喉から手を出してしまった。
    同じように、多くの日本人が“銀幕俳優”の長身と、都会的な振る舞いに接し、時代のシンボルとして祭り上げた。日活が それを準備したのではないか、と思う。

    続く‥

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    2013/05/30 23:35

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  • 御来場ありがとうございました。
    またよりよい舞台をお届け出来るよう、精進致します。
    インソムニア主宰 佐竹海莉

    2013/06/03 15:19

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