奥村さんのお茄子 公演情報 こねじ「奥村さんのお茄子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    3バージョンそれぞれの面白さ
    9日に2バージョン、12日に残りの1バージョンを・・・。
    同じ戯曲なのに、印象はかなり違っていて。

    そもそも戯曲は従前にも観たものですが、
    それぞれの役者たちが、その戯曲にのっかって
    描き出す世界の色がおもしろく、
    3バージョンの同じ展開を観ても
    全く飽きることがありませんでした

    ネタバレBOX

    ・内山奈々×寺部智英Ver

    二人の役者が、それぞれのトーンをしっかりと持っていて
    それを貫いてもいて・・・。

    最初はキャラクターの設定というかペースが
    一番ナチュラルに乖離している感じがするのですが、
    乖離しているからこそ、
    それぞれの個性がしっかりと見えてくる感じもあって。

    それが、お互いをロールのベースを崩してではなく、
    違ったペースを貫きながら束ねられていくことが
    やがて物語の世界全体を大きく広げていく印象がありました。

    あと、他のVer.と比較しても、
    この二人が醸し出す人見知り感や解け感の精緻さは際立っていて、
    ありえない話があるとすれば、
    このVer.が一番リアルな描写であったような気も・・・。


    ・両角葉 × 浜野隆之 Ver.

    二つのロールががっつりと噛みあっていて、
    物語がストレスなくすいすいと流れていく。
    それぞれが,相手の空気をきっちり受け取り、
    互いに相手のリズムを自らのリズムに取り込んで
    シーンを重ねていく感じ。

    物語の骨格が実によく見えて、
    台詞のやり取りも観ていて心地よい。
    なんというか、戯曲を真正面から見ている感じもあって。

    ただ、その分、戯曲からやってくる、
    噛みあわないことからの膨らみは、
    ちょっと削がれている印象がありました。
    もうちょっと、いろいろに遊んでもよいかなぁとも
    思った部分もありつつ、
    これはこれで味わいだなぁとも。

    あと、初日の一発目だったので、
    その後の公演ではいろんな崩しがはいっていくのかもなどとも
    思いました。

    ・佐々木なふみ x 菅野貴夫 Ver.

    前半はキャラクタのデフォルメとナチュラルさの
    ずれがとても面白くて。
    それぞれが自らのペースを貫きつつ、
    うまく相手とのメリハリを導き出している感じ。

    それが後半になると
    次第に一つのトーンに束ねられて、
    物語の骨格が新たな奥行きをもって現れてきます。
    前半にくらべて、物語のペースがすこしだけゆっくりやってきて、
    その分、人が生きる時間の感覚が
    より深く伝わってくる。

    多分、女性のキャラクターそのものは、
    一番あからさまに作りこまれているのですが、
    そのことがむしろキャラクターそのよりも、
    そのキャラクターを踏み台にして訪れる風景や感触に
    観る側の視界を開いていて。
    男性にも、徒に女性のペースに合わせるのではなく、
    女性側にデザインされたものが
    ぶれたり滅失したりのない
    色や質感の貫きがあって。

    他の2Ver.とは一味異なるバランスのよさや完成度が
    観る側をより惹き付けつつ、
    この会場の雰囲気に醸される
    作意の枠からはみだしたような余白を
    若干減じさせている感じもしたのですが
    最後に見たVer.だったこともあり、それは、他のVer.の魅力を
    より引き出しているようにも思えたことでした。

    個々の舞台の面白さに加えて、
    3バージョン観ることでの味わいも受け取ることが出来て・・・。
    ほんと、楽しませていただきました。

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    2013/05/13 13:02

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