『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月! 公演情報 劇団チョコレートケーキ「『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    あの記憶の記録
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    劇団チョコレートケーキ 【あの記憶の記録】を観劇。

    最近、演劇界で名を馳せてきている劇団で、今作の出来の良さから始まったようだ。今作は再演。

    1970年のイスラエル・テルアビブ市内で平和に過ごしているイツハク家の物語。
    イツハクの子供達が通う学校の歴史教師は、ナチスがユダヤ人に行った残虐な行為を後世に残そうと生き残りのユダヤ人を探してインタビューを試みている。特にユダヤ人の中でもカポーと呼ばれていた人達の証言を求めていた。そんな時に生徒の父(イツハク)がカポーという事が分かりインタビューを試みる。そしておぞましい記憶を呼び起こすのを20年以上も躊躇っていたイツハクも遂に独白する決意をする。

    カポーとは・・・収容所監視員と言われている。収容者の中から選ばれ、直接収容者を監視する任務を持つ。監視下の収容者に対して絶対的な立場に立っており、残酷に振る舞う者が多かったとされる。個室や食料等の特権が許されていた。(劇団資料参考)

    あまりにも遠い歴史的証言の内容であり、映像等での認識しかないので、何処まで作品に関われるか?が観劇の際の不安であったのは正直な処だ。認識不足の観客の為に、歴史的紹介を兼ねて少しづつイツハクの独白にスライドしてく展開の上手さ、そして観客をその場の立会人させてしまう演出術は見事だ。イツハクの独白も歴史の中で見聞きしているユダヤ人とは違うカポーの証言なので、更に興味を持ってしまう。
    そしてその証言後に、現場体験をしているイツハクの考えている戦争終結とは?机上で考えている歴史教師の考える戦争終結とは?という結論に持って行くのだが、互いの立場、世代間、宗教間の思考の隔たりに、実はそこに未だ戦争が行われている原因があるのではないか?という事に言及していくのが今作のテーマであり、落とし所であったようだ。特に歴史的、人種的にも異なる日本人が、ナチスの虐殺から未だに続いている戦争について考察している点が今作の見所でもある。

    因みに次回作は、連合赤軍の浅間山荘事件を扱うようだ。

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    2013/03/26 11:00

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