「物」 公演情報 日本のプロレス「「物」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    辺縁系のネガ
     objetをobjetとして扱うには、無論、物理的に扱うのが、一番分かり易かろう。だが、あるポテンシャルを越えればobjetは相転移を起こすのが普通である。そこには、カオス、安定した秩序・結晶層、その間の辺縁系とでも呼ぶべき層が存在し、各層ごとの素粒子の振る舞いは変化している。我ら生き物がどの層に属するか、と言えば、辺縁の層である。ここでしか、新陳代謝を含む流動性と組織化が同時に存在しえないからである。物理的な客観ではそうなのだが、生き物が神経や脳を持ち、心を持つようになったら、物理化学特性と、所謂精神の働きは矛盾なく、同時に存在しうるのだろうか? 2つの劇団が、中身を入れ替えたオムニバス形式で演じた「物」。先ずは「中間子論」。
    物体相互間に働く物理的な力の影響下、心はどのように振る舞うか? である。他方、海の音にもまがう心音を聞くのが、大好きなホモセクシュアルな主人公は、愛する者皆を殺してしまうが、遺体になった愛人を物としても愛したと言う。実話をもとにしているだけに不気味さを覚える。2編とも、結果的には、物それ自体というよりは、物とそれにまつわる精神の狂い、或いは、アンビヴァレンツを描いていたように思う。

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    2012/07/30 02:09

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