満足度★★★
再観の価値はある。
救いのない家族像・・・と言えば、それで事足りてしまうのだろうか?
舞台上に描かれた家族の「闇」は、既視感のあるものだし、舞台上で繰り広げられる展開は予想通りのもの。
観劇後の率直な感想は「ありがちな脚本を、演出家と役者が技術&情熱で芸術作品にもっていった」という感じ。
ただ、今思い返すと・・・自分の人生と比較して考えると・・・思いがあふれてくるにはくる。
ま、あまりにも「柳美里」な作品なので、比較しうる対象ではないのかもしれないけど。
学生時代になんとなく顔を出していたゼミで繰り広げられていた「ジェンダー論」「家族論」に対するボクの違和感というか空虚感を思い出すなあ。「だからなんなの?」ってやつ。
テーマがテーマだけに、重苦しいし、眉間に皺寄せて観ることになるんだけど・・・「ま、こういう人もいるんだろうな」という見方も有りなんだと思う。
もちろん、「優しさと冷たさ、親身と軽薄の表裏一体について」「家族間の役割とは、演じるものなのか?本能的に身に付くものなのか?」「現実逃避と淫乱の関連性について」「現実の家族を目の当たりにした時、理想の家族観とどう折り合わせるのか?」「精神を病んだ知り合いとどう接するか?」等々、深く考えてみるのも良いんだろうし。
そういう意味では、リピートする価値のある芝居だと思います。
なんといっても演技・演出(衣装、メイクを含む)がとても良いです。