荷 公演情報 東京演劇アンサンブル「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    刺激的だった坂手さんの演出
    中に入ってまず息をのんだ船底を模した客席配置。可動式オープンスペースを生かしたブレヒトの芝居小屋ならではの文字通り「芝居小屋」としての楽しさがある公演だった。

    東京演劇アンサンブルの場合、最近流行の劇団員が他劇団へ客演する機会はほとんどないと思うので、今回のように、韓国の作品で、韓国人俳優との共演、外部演出家などによる刺激を受けることはとても貴重で有意義だと思う。

    坂手洋二氏の斬新な演出に、若い劇団員たちが柔軟性でよくついて行ってる印象で、いつもの新劇とはまったく違う魅力を発揮していた。

    「本当に東京演劇アンサンブル?」という嬉しい驚きがあった。

    このお芝居、ふだん、東京演劇アンサンブルを観たことがない人や、坂手洋二ファンにもぜひ観てほしいレアな作品だと思ったが、新劇になじみがない人に足を運んでもらうことは難しいのかもしれない。

    それでも、ブログなどを検索すると、演劇関係者、小劇場ファンも多数来場され、好評を呼び、話題になったようで嬉しく思う。

    このコラボが劇団員の今後の舞台生活に必ずやプラスになることを信じている。

    ネタバレBOX

    日本と韓国、両国が抱える「問題」を象徴するような舞台中央の大きな水瓶に浮かぶ「荷」。

    この舞台装置が秀逸である。

    水瓶の水は惨事の海にもなる。

    2つの家族の間を「荷」が行き来するさまを眺めながら、観客の私たちも、船底で心が揺れ動いていく気分。

    日本の家族の娘の「私が知らない時代の責任を背負いながらいつまで謝り続けなければいけないのか」という想いは、我々日本人の本音でもあると思う。

    「こうである」という押し付けはなく、観客それぞれの心にくさびを打ち込むような深い作品だった。

    難を言えば、私の席からは字幕が直角で見えにくく、視力も弱いもので、韓国語のセリフについていくのが辛かった。

    俳優では、原口久美子さんの明晰な台詞と、情感あふれる桑原睦さんが印象に残った。

    「噂をする日本人トリオ」の使い方も面白かった。

    東京演劇アンサンブルは、創始者の故広渡常敏氏が桐朋で教えていた関係で、劇団員には桐朋卒業生が多い。

    今回演出助手を勤めた赤澤ムックさんもやはり桐朋OGで、劇団員の中にに同期生もいて、良き潤滑油となったようで、公演成功の陰には赤澤さんの活躍を称える声があったことを追記しておく。

    コリッチには赤澤さんのファンも多いと思うので。

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    2012/04/12 15:20

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