『非国民文化祭』 公演情報 笑の内閣「『非国民文化祭』 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    偏りを表現する偏りのない力
    素直に笑えたし、
    こういう笑いに必須の突き抜けもしっかりと感じることができました。

    なによりも、ジャンルをものともせず、
    タブーに縛られない描写の切っ先と
    それを具現化する引き出しの豊かさに
    惹かれた・・・。

    東京で定期的な上演ができれば、
    コアな客がしっかりつくのではと思いました。

    ネタバレBOX

    冒頭の、原発ネタに
    がっつりとやられる。

    最初はどこか薄っぺらい感じの
    コントかなと思ったのです。
    で、現実にどこか薄っぺらいコントの態ではあったのですが、
    その薄っぺらさや、表層的な表現に
    不思議と違和感や引いた気持ちが起きない。

    やっていることは
    たとえば文字に落とせば、恐ろしくだらないことなのですが、
    でも、気が付けば、そのくだらなさが
    今の原発問題の質感にしっかりと置き換わっている・・・。
    エロい道具を制御棒に見立てたり
    火照った体を水で冷やしたりと、
    やりたい放題の
    その世界の表現の不謹慎さや下世話さが
    そのまま原発問題の根幹にある、
    ある種の利害やイデオロギーの胡散臭さとして
    見る側に置かれていく。
    失笑の切っ先を、しっかりと問題の本質に塗り替えるしたたかさに
    前のめりになってみてしまう。

    その切れ味は、マルクス主義や某大手宗教団体、
    さらには右側の思想や「尊きもの」の匂いを
    見事に舞台上に切りだしていきます。

    それらを信奉する人々にとっては
    あからさまな揶揄にも思えるのでしょうけれど、
    でも、その思想自体を真っ向から
    批判しているというわけでもない。
    ただ、それらが含有する
    自らの美化や
    他を排除する独善や胡散臭さを
    笑いに作り替えているだけ・・・。
    よしんば表層の表現がどこかぺらぺらであっても
    そこには、軽薄さを編み上げる芸術性というか力量を
    しっかりと感じ取ることができるのです。

    だから、熱海殺人事件のパロディをやっても
    ミミックには留まらないなにかが伝わってくる。
    彼らの表現にとって、現実の置き換えはむしろ果実のひとつにすぎず
    内包された極めて演劇的な力が支えうる表現は
    様々なベクトルをもった作品を創りえることがわかる。

    今回の彼らの公演は
    エンターティメントの部分を十分に持ちながら
    一方で、彼らの広い間口の
    ショーケースてきな側面もあるのかなとも
    思いました。

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    2011/09/23 09:43

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