純真無垢のメカニズム 公演情報 たすいち「純真無垢のメカニズム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    興味深く、しかし少々複雑な構成
    12か月連続公演の第8回で、今回も8月にふさわしいテーマの作品だった。

    前半は2つのシーンが交互に現れる。
    1つは、夏休み最終日、高校で理科部の男子が同じ部員の女子に「告白」する場面。
    しかし、あっさり振られる・・・。
    ここには、他の2人の部員とのやり取りや、なぜか恋愛を勧めるちょっと変な女教師も登場。

    もう1つは、交通事故で入院して、記憶喪失…となった女性と、
    その父、妹、そして恋人の話。
    父親は娘(妹)に対し、イマイチとんちんかんというかとぼけた返答が多い。
    また、担当男性医師も、いつも首をかしげながら機械のようなしゃべり方をする人。

    この一見全く関係の無い2つの話が交替して現れる。
    ところが、場面転換時は、2つのシーンが一瞬重なり合い、完全に暗転しない、
    ある種奇妙な場面転換である。
    この意味は芝居が進行するにつれて明らかになって行く。

    (以下ネタバレなので、これから観劇される方は、読まないことをお勧めする。
    ただし、複雑な話が苦手という方はあるいは読まれても良いかも?)

    ネタバレBOX

    告白した男子生徒は「夏休みが繰り返しているような気がする」という。
    そして、次に何が起こるか、対話の相手方が何を言うかも分かっている・・・という。

    そして、女性教師、実は「感情を持つロボット」を研究開発している女性研究員の助手であった。
    そして、同じ研究所で「2度同じ誤りを繰り返さないロボット」を作ろうとしているのは、
    記憶喪失の少女の担当医師と思われた男性であった。
    この男性の秘書役として、イマイチ出来の悪い女性ロボットがいる。
    この2人の研究員はいまいち仲が悪い。

    ここから別個の話だった2つが結合していく。
    実は少女は記憶喪失ではなく、すでに死亡しており、
    入院している少女は、父親に頼まれて作られたロボットだったのだ。
    この父親と男性研究員も、かつては一緒に勉強をしていた仲間・・・
    これで、父親が一見とぼけた返答をしていた理由が(一応)明らかになる。
    そして、少女ロボットに感情を与えるため、
    不仲の女性研究員の開発データを不正取得してしまう。

    一方、告白をした男子生徒は、実は女性研究員の作ったロボットで、
    恋愛という「感情」をうまく与えられないか、という研究であった
    ・・・だから繰り返す・・・
    ここから、女性教師の「変な台詞」の理由も(一応)明らかになる。

    不正取得が発覚し、2人の研究員が言い争うシーンから、
    彼らの悲しい過去・・・実は高校生たちのシーンは研究員自身の過去の投影であり、
    実際に合った過去の経験をデータ化したものだった
    ・・・ただし一部変更がなされている・・・それは悲しい経験から・・・

    ということで、これ以上のネタバレは控えるが、
    「人間とロボットとどれほど違うの・・・同じでは?」
    「誤りを何度も繰り返すのは当たり前。
    誤りを繰り返さないということ自体が誤り」
    という問いかけは、観る者にも深く迫り、
    あらためて人生とは、生きることとは、を考えさせる。

    こういう(私には)複雑な構成を持った作品であるが、
    内容としては深みを有する素晴らしいものであった。

    ただ、気になった点をいくつか?
    やはりこれだけ複雑な内容を有する作品であるがゆえの短所かもしれないが、
    理屈が浮き出して見えてしまう嫌いは否めないこと。

    それと、前述で「(一応)明らかになる」と2度書いたが、
    本当にすべて明らかになったであろうか?
    おそらく、高校生4人は全員ロボットと思われるが、
    後の3人は人間臭さが強いように思われるし、
    男性研究員や、女性教師(兼助手)なども、ロボットっぽい雰囲気がある。
    (これは「人間とロボット」がどれだけ違うの」を受けたものなかもしれないが・・・)
    また、死亡した少女の父親と、娘(妹)との感情の問題や、
    2人の娘に対する父親の気持ちについての観客への説得性・・・
    などなど、あるいは意図的にぼかしたのかもしれないが、
    一方で複雑な構成を有しながら、
    もう一方でぼかした部分がある、というのは、
    見る側としてはすっきりしない気持ちになってしまう。

    アフタートークで「脚本家が考えていた主人公は・・・・・・(これも内緒)」
    という話があり、作る側が伝えようとしても伝わらないこと、
    逆に観る側は、作る側の前提にある思いを知らずに、
    いわば与えられた情報でのみ考え、
    そして感じて行ってしまうことなど、
    演劇のみならず芸術の有する難しさと面白さについても、
    あらためて考えさせられた。

    最後に小さい点だが、女性教師の衣装、ちょっと変えた方が良いような気がする。
    私は最後列で観ていたが、一見彼女は生徒とも見えるような服装で、
    お顔も何となく生徒っぽい。
    一方(失礼ながら)告白を受ける生徒役の方が、
    ちょっと大人びたお顔なんですよね。
    (実年齢はアフタートークで聴きましたが・・・)
    他の生徒以外の役は、それぞれの衣装を着けていたので、
    教師役だけ紛らわしい衣装にしなくても良いのでは・・・ということ。

    それから、音楽はちょっとうるさかったかな?
    こういう話なのだが、ロック調で、
    小さい会場で大きく音を出すもので・・・。

    これまでお陰様で3本連続で観せて頂き、今回は4本目だが、
    今回は3年前の再演(改変もかなりあり)で、
    以上述べた点は、やはり若書きに起因(アフタートークより)するのかも
    ・・・という気もした。
    で今回は本当は4.5P位ですが、まあ四捨五入で5Pにします。

    0

    2011/08/21 10:21

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大