KUNIO08『椅子』 公演情報 KUNIO「KUNIO08『椅子』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    無茶ぶり上等
    これに行くにはそれなりの覚悟を要していたようにおもう。なぜってその状況を飲みこめたとしてもかなり戸惑うような無茶ぶりを振られるかもしれないし、そうかといって逃げ腰になるのも気が引ける。どちらにせよ、はじめからさいごまで安心して観させてはくれないのだ。
    はじめてkUNIOワールドに触れるひとは、こんな風に人を舞台に釘付けにする方法もあるものか、ときっと驚くことだろう。
    突き抜けたパワフルな演出でとにかくめちゃくちゃ楽しかった。

    ネタバレBOX

    ほんとうはきっとすばらしい才能があるはずだ、なんてずいぶん長い間自分が非凡であることに焦がれつづけた老人が死期を目の前にほんの一瞬だけ願いを叶える青臭いロマンティシズムに満ちた話。

    序盤では、厭世的な老夫婦のなんともつかみどころのない会話がぐだぐだと続くのだけれど、劇中いきなりKUNIO氏が乱入した後、今から指名された人(観客)が老夫婦のゲスト(来訪者)役として出演しなければならないことが告げられると会場はこれから死のロシアンルーレットがはじまるかのように一瞬にして凍りついた。笑
    するとこの空気感を見越したKUNIO氏が「誰も目をあわせてくれませんね・・・」とややにやつきながらマイクを片手にまるでテレビのクイズ番組の司会者のように観客に役を振っていく。
    なんつー無茶ぶり!!
    なんておもいながら、幸いなことに(?)役を振られなかったわたしは、指名され、舞台で来客として役を演じることになった観客のひとたちを固唾をのんで見守った。

    最初のアクションは、老夫婦と来訪者が出会うところからはじまる。
    挨拶ひとつするにしても、会釈をするだけではすまされず、老夫婦は来訪者に質問を投げかける。
    その時、来訪者は演じる役相応の受け答えをしなければならないのだが、
    リアルでは初対面であるために、なかなか状況は複雑だ。
    微妙な距離感が生まれたり、気まずい沈黙が流れたりもする。
    そんな中でも適当に話をあわせて踊りましょう・・・なんて老人に言われるとノリノリでチークダンスをはじめるひともいれば、老夫婦に差し出された『椅子』に坐っているだけで冷や汗ダラダラで緊張感がこちらまで苦しいほどに伝わってくるようなひともいる。

    それぞれのひとたちの、枠にはまらない生のリアクションを発起するこのスリリングな演出方法は、普段なかなか意識しない対人関係の素性を見つめ直す契機にもなり、非常に優れていると感じた。

    後半は、死に絶えた老人に成り替わり、かねてより老夫婦に招かれていた弁士が老人の言葉を皆の衆の前で演説をするのだけれど、この時、プレミアムシートなる椅子が舞台に設けられ、そこでは弁士の話を真正面から浴びることができるという仕組みになっていて、KUNIO氏が煽るというのもあって、前半ではシャイだった観客陣もこの時ばかりは我先にとプレミアムシートへ続々と向かっていった。(勿論わたしも)

    で、この時の演説の内容っていうのはぼくはみんなを愛しています、みたいななかば厨二病的体裁で失笑寸前って感じでもあるんだけど、弁士がBen-Cなんつーナンセンスな名前のラッパーとして思いのたけをライム刻んでリズミカルに言っちゃったりするもんだから、こっちは爆笑しつづけているしかなくて。

    だけど、老夫婦は天国で幸せに暮らしていてみんなの幸せを願ってるよーなんてちゃちな指人形でいわれちゃったり、フィナーレをエグザイルのビクトリーで飾られちゃったりなんかした折にはやっぱりこちらは笑顔でいるしかありません。

    そしてほっこりした気持ちで家路を急ぐほかなかったのでした。

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    2011/08/18 22:10

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