満足度★
私には理解不能で・・・
公演については、他の方の投稿により示されているとおり。
I型というかH型というか、テーブルが並べられ、そこが舞台。
階段が数か所あり、観客席へ降りることも可能。
開演前から、役者数人が登場し、カップルが寄り添いあったり、
舞台や、時に下に降りたりするダンサーも。
室内は多少煙っぽく、スポットライトが線のように見えることも。
さて、前説から抑揚のない静かな声で始まる・・・
(これも意図的なものであろう)。
放火犯人らしい母親を訪ねる青年・・・
ヘルパーかと思っていたら後で弁護士とわかる。
母と同居の娘、弁護士事務所(会社とも言っていたが)内でのやり取り、
カップルのやり取り、そしてダンサーたちが歩いたり踊ったり・・・。
Iの字の両端に、母たちの家と、弁護士事務所が離れて存在し、
その中間付近の通路に、カップルがいる。
カップルの女性はDVを受けたことがあるようなセリフが、
そして男性は、放火犯らしい母の息子である。
ただ、台詞は、一文一文は普通の文章。
しかし、文章が積み重なっていくと、論理的には意味が分からなくなる。
つまり、各文章間の脈絡が通じないところが多い。
また、異様なほど、相手の言うことに執拗な反論をするようなやり取りも多い。
そして、2つの両端と中間の3か所に、
順不同にスポットが当たっていき、そこで台詞が始まったり、
時として絡み合ったりすることもあるが、
その関連性も論理的には分からない。
ということで、極めて実験的・抽象的・前衛的な作りであり、
もちろん、それも演劇の一ジャンルであるわけで、
新しい試みを行うことは一向に構わないと思っているのだが、
しかし、すでに述べたとおりで、一文一文は普通の文章なので、
それが具体的イメージを超えた感覚的、抽象的イメージを
観客に与えることの妨げになっていたように思う。
中間部分ではダンサー2人による舞踊が中心となるが、
これも、それほど特殊なものとも言えず、
特に強い印象を受けなかった。
ということで、抽象・前衛なりに、
自分たちは何を表現して、
観る者にどのようなメッセージを伝えたいのか、
そして、そのために、どのような表現手段を取るべきなのか、
もっと考え抜いてほしい、というのが私の正直な感想と意見。
ただ、終演後、熱心に拍手している人もいたので、
その方には何かが伝わり、
しかし私にはそれが把握できなかった、ということかもしれない。
もしそうであれば、私自身の受容能力の低さを恥じるしかない・・・です。