セントの観てきた!クチコミ一覧

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てんびん座のあなたとうお座のわたし

てんびん座のあなたとうお座のわたし

斜彼女<SHA-GIRL>

船場サザンシアター(大阪府)

2017/07/22 (土) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

サザンシアターの支配人の当麻氏が脚本を書いた劇であります。でもこれが期待以上に結構面白い。何かヨーロッパの女性映画を見ている感もある。

結婚願望の強い女性が周囲を惑わしていくコメディである。男もいないのに結婚をしたくて式場を予約する。さて彼女は言わずもがな、あわてふためく婚活をせざるを得なくなる、、。

話の展開がベタでなく、最後に一つ二つ、ひねりを利かしてアッと驚くラストとなる。ストーカーの男たちの使い方もしゃれていて、当麻氏はなかなかエスプリの効いた劇作家だということが分かる。

面白かった。ただ脚本の面白さに連なって観客は余分なことを考える隙もない。だからこそ最後の逆転劇がうねりをもつ力強さとなる。

はこづめ

はこづめ

ハコボレ

ウイングフィールド(大阪府)

2018/11/02 (金) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

設定が遠い未来の話ではあるけれど、意味深の現代青春群像劇とも言える。一つの箱に3人が真実を隠しながら生活を送っている。しかし、その日々はいつまでも続くことはなかった、、。

ラスト近くの10分ぐらいから、怒涛のように今まで静かだった穏やかな川が激流に変貌する。もう彼らには時間も、青春も、かすかな希望も、そして未来さえなくなってゆく。その最後の時間を彼らはロックを演奏し、彼らが一体となって共有しながら、その時を迎えるのであった。

まるでこの10分間を描きたいがためにこの劇を作ったような、凝縮した密度の高い時間であった。そしてそのまま劇は終わってしまう。取り残された観客はどうしていいのか面食らっている珍しい観客席でした。

あの圧倒的なラストには僕も唖然となりました。

しまうまの毛

しまうまの毛

劇団ポスト加糖

STAGE+PLUS(大阪府)

2017/08/11 (金) ~ 2017/08/12 (土)公演終了

満足度★★★★★

我が愛するサリngROCKさんの名作の上演である。この劇団は知らない劇団ではあるが、見てみるとみんな若く、まるで僕には高校生ぐらいにしか見えなかった。それほど初々しく素敵だ。

彼らはまさに青春の息吹をまともに感じる年齢で、今、人生に一番悩み、一番楽しんでいるそんな世代の人たちだ。この難しい劇をえいっと勢いでやってのけてしまうぐらい、若いってホント素晴らしい。

常に包帯を腕にしている女の子が主人公だ。包帯を取るとシマウマのような傷跡が歴然とする。こんな設定からも若者たちの生きる上での、苦しい遠吠えが強く弱く聞こえてくる、、。

タイムマチンだよ!〜かえってくるきないよ〜

タイムマチンだよ!〜かえってくるきないよ〜

0F-ゼロフレーム-

船場サザンシアター(大阪府)

2018/12/07 (金) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

題名から軽いSFファンタジーものかなと思っていたら、意外と輻輳し構成にテクが入っていて、ちゃんと見ていないとどんどん置いてけぼりになるようなまともで真面目な作品でした。お見それいたしました。

それぞれのエピソードが実は深くハートフルなので、もう1回見てみたい作品です。とはいえ、明日は予定があるしのう、、。9人の出演者、全員稽古も十分で見ごたえありました。才能のある劇団です。

書く女

書く女

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2021/06/18 (金) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

樋口一葉の伝記ものだが、想像をはるかに超えて明るくキュート。じめじめしたところが全然ない。恋にも恵まれず、生活は貧しく、それでも書き続ける一葉。24歳でこの世を去るが、現代から考えるとホント大人ですね。

そんな一人の女性の生きざまをダイナミックな演出と粋のいい俳優陣で見せてくれる観客にとっても至福の時です。主役の一葉は断トツの出来だが、妹役の人が後々印象に残ります。

小さな狭い舞台も工夫していろいろ見せてくれます。愛情がこもってますね。秀作!

あゐ ばさみ

あゐ ばさみ

劇団光合聲

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2022/01/08 (土) ~ 2022/01/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

珍しく、マンションでの二人の死体から始まるミステリーを加味した愛憎劇。楽しめました。開場すると舞台に二人の死体が。それを観客は眺める。そして劇は始まる、、。
二人の親子と時計屋の男性との三角関係をテーマに、重苦しいけれど複雑で繊細な愛の姿が醸し出される。それと並行してこの事件をスクープして、真の人生の姿を知ろうとする記者の懊悩が描写される。
私としてはこの三角関係はよく理解できた。そういうこともあるわいと、彼らの心情のさざなみを想う。よくできた脚本だ。ただ、一方、記者の苦悩がそれほど伝わってこない。愛の分析だけでは物語としては不足していると思ったのかもしれないが、どうなんだろう、、。
途中、母親の別の恋人との諍いで冒頭の殺人光景を勘違いさせる取り組みなど、ミステリー的にもはっとさせるなかなか秀逸な脚本に拍手をしたい。
後、照明がイエローを主体としたものなのだが、最後まで少々暗く、もうちょっと明るくして俳優たちの顔の表情をよく見たかった感もあります。
この劇団はずっと見てますが、なかなかイケマスよ。今日もルンルンです。

祝福に瞬間を!

祝福に瞬間を!

劇団 白の鸚鵡

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/14 (土)

座席1階1列5番

総勢15人の大所帯。しかも全員にまともな役とセリフを、という信念があったのかどうか分からないが、ほぼ均等に配されていたように思う。

これはなかなか演劇を作る上で基本的な部分だが、難しいところだと思う。でもこれをクリアしたね。河波哲平さん、あっぱれです。

突然夫婦危機を迎えた3人家族。母親を亡くし父親が再婚しようとする息子から見た父親と女性。この二つの家族像がこの劇の根幹をなす。そこに劇中劇が始まりこの劇のテーマも膨らんでいく、、。

この劇は大勢の俳優陣の場面転換等の処理方法が抜群にうまく、感心する。だらだらすることなくてきぱきと劇が進行する。劇が面白い証拠である。

この劇団は集団の時の演技がいいんだよね。ラストの写真撮影なんか、とても映画的で、なんか泣けちゃったよ。

嘘吐きウガツの冒険譚

嘘吐きウガツの冒険譚

羊とドラコ

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2017/05/18 (木) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/21 (日) 16:00

大道具が何かしらロールプレイングゲームのいでたちで、軽めの劇なのかなと思ったら、とんでもない、舞台は炭鉱を意識し、明るさも控えめで、終始薄暗い採光での劇である。何人ものウガツが登場してくるので当初ちょっと戸惑うが、まあ面白い目論見であります。
劇は2時間という長丁場だが、きちんと俳優たちが自分の演技を演じ切っているので退屈はしない。だが、あまり笑いのない芝居で、見ている観客はちょっときついところもあるかもしれない。
それでも竜崎の意気込みは全編琴線を引っ張ているように緊張感は持続し、俳優陣は全員達成感を確認したように思われる。いい劇であった。

ずぶ濡れのハト

ずぶ濡れのハト

劇団未来

未来ワークスタジオ(大阪府)

2017/06/16 (金) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★

大まかな話はだいたい想像通りだったが、小道具の使い方とか、音の使用が実に繊細だ。舞台切り替え時の細工も、あれだけの時間でなかなか凝っている。早い。こなれた劇団だと思う。

けれど、何ともこの劇には、希望というものがほとんどない。人間、希望がなくても生きて行けるものなのか。時代がそうさせるから仕方がないというのは、現実的ではあるが、劇では何か新たな誘発エネルギーもほしいと思ったのは僕だけだろうか、、。

レ・ミゼラブルin西宮2017

レ・ミゼラブルin西宮2017

スイング西宮♪

兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)

2017/06/28 (水) ~ 2017/06/29 (木)公演終了

満足度★★★★

今日行ってきました。ミュージカルかなと思っていたら、クラシックの匂いが強い声楽劇でした。実質2時間40分、大勢の方が歌い、歌詞も全部暗譜し、それはスゴイ迫力です。
本当にご苦労様でした。人間業ではない感じがしました。

パーティーをはじめよう!

パーティーをはじめよう!

吉田商店

一心寺シアター倶楽(大阪府)

2017/07/21 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇公演というよりファンへの感謝祭といったプログラムです。そこにはダンス、コント、唄あり、もちろん愛すべき娘の思いを綴った芝居もあります。全部で10篇。とてつもなく楽しいです。愉快です。舞台がファンと一体となっております。

子供も劇に参加していて観客も実際子供たちがいる。珍しい光景である。なにか、昔子供たちとよく行った百貨店の屋上での怪獣ショーの面影もあります。
充実した2時間20分。やはりファン感謝デーでしょう。

伊藤えん魔プロデュース「百物語」

伊藤えん魔プロデュース「百物語」

ファントマ

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2017/08/11 (金) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★

夏の夜はホラー。これは定番ですよね。それは後半の映像で楽しむが、前半はゾンビもどきがわんさか出てくるコミカルホラーであります。しかし、美人女子大生たちが主人公なもんで、全然楽しいです。

彼女たちの目指す場所はなぜか三井アウトレットパーク なんですよ。何故だか分かりまへん。たくさんのファッション服も出てきましたが、伊藤さんはこのうら若き女性たちの意見を聞いたのかもしれません。

まあ、それこそたくさんの登場人物です。20人は越えているのではあるまいか。みんな芸達者な人たちばかりなのに、それこそめちゃ楽しんで、殺陣をしてるって感じですなあ。観客も自然楽しめます。

山人(やまんど)のリア

山人(やまんど)のリア

劇団五期会

ABCホール (大阪府)

2017/09/21 (木) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★

この劇はリア王の輻輳劇でもあり、名家のうち、分家の家もリア王のごとく、内部分裂している。これがシェイクスピア劇の退屈を救っている。

そのため本家の内部紛争も面白いが、分家の次男が実力でのし上がってゆくさまが一つのポイントとなる。躍動感があり、とても奥行きのある作品となった。

この父親を演じる牛丸氏が実にうまく、両目を失明させられ(実は実の息子と)放浪するシーンは、オイディプス王と重なり重層感をもたらした。ある意味この父親がこの劇の主役ではないかと錯覚するほどだ。

登場人物実に20人以上。みんなさすが、発声が見事で、久々に基本的な朗々たる演劇を見ることができた。たまにはこんな本格演劇を見ることも必要ですね。

第4回大阪短編学生演劇祭

第4回大阪短編学生演劇祭

大阪短編学生演劇祭

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2017/09/23 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★

劇燐「花に荒らし」『あさきゆめみしワンダーランド』
これは男女のカップル。演劇はしたいが、何をやりたいかというのはそれほどでもなかったという、正直者である。でも全編、アドリブで構成しているのではないか、と思わせるほどこの二人、度胸がある。大したことはしていないのだが、余裕があるので会話が面白い。かなりの才能があると見た。将来が楽しみだ。80点。

元気の極み 『せかいのはじめ』
今回の極みはこれでしょう。女性の一人芝居。宇宙の始まりから、体内への始まりへとつなぎ、「私とは何か?」と本質的な難問に臨む。この問いは古今東西、哲学者たちが常に我に問って来た基本的命題であります。スゴイです。感心! 85点。

2団体だけ感想を書いたが、4団体ともみんな若い。全体にもっと荒々しくてもいいかなと思った。才能はとても感じる。

同じ窓の者たち

同じ窓の者たち

演劇企画 無有場

ウイングフィールド(大阪府)

2017/09/23 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★

身近で、どこにでもある、そして若者たちが常に内面に潜めている思いを自然体で表現している。
始めはなんだか、安易な学園の話だろうと思っていたら、7人の若者たちの純真な心にぐいぐい入ってゆくある意味シリアスな展開に、年齢の離れた吾輩でもぐんぐん引き込まれて行った。
6年後に再会した彼らが、求め苦しみもがいた後に見たものは、、。いいラストです。
いやあ、久しぶりに何かきれいな一筋の光を見た感がしますね。これぞ収束する青春のきらめきとも言える。そんなひと時の時間を切り取った佳作であります。
ひとりひとり頑張った甲斐がありました。でも、次作が3年後なんて、どういうことなのかい?

バグリン・ファイブ

バグリン・ファイブ

KING&HEAVY

HEP HALL(大阪府)

2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了

満足度★★★★

RPGというゲーム感覚で話が展開する。これが結構、謎が謎を呼び、ワクワクする。ストーリーの先が読めないのだ。だから面白い。ゲームにはミステリー感覚が重要なんだなろう、それが分かる。
確かに観客をハラハラさせる展開は素晴らしい。劇を見ていてよかったと思わせる瞬間である。何よりみんな、めちゃ稽古をしている感も伝わっている。発声も確か。楽しめる劇団である。

伊藤えん魔プロデュース「イカロス戦記」

伊藤えん魔プロデュース「イカロス戦記」

ファントマ

近鉄アート館(大阪府)

2017/11/03 (金) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★

いつも通り多数の演者。そして子供から大人まで安心して楽しめるエンタメ。何よりけれん味たっぷりの舞台演出が見ていて惹きつけられる。大人でもぐいぐい惹きつけられ、先ほどまで気にしていた現実の厭なことをすぐ忘れてしまうほどだ。これが伊藤氏の劇の一番の魅力である。

今回はいつもより、年齢を問わないオールラウンドものになった。多少、子供を意識し過ぎかなとも思うが、それでも僕のような嫌な老人でも童心に戻ることができる。恐らく見てくれとは違い、伊藤氏はかなりピュアな心の持ち主なんだろう、テーマ的には壮大な「世界の終わり&世界の始まり」を2時間で片づけてしまう。

そう、何となく見てしまう演劇のようでいて、テーマは宗教的、小哲学的でもあり、実は深淵なのである。生物をすべて廃し、一部の生き物だけを生き延びさせる、まさに「ノアの箱舟」のような展開は、さすがだと驚嘆する。あの金ピカの3人の神が降誕し、生き物をほぼ殺戮するシーン。観客はアッと驚く。なぜ、善人も悪人も殺戮させられなければならないのか。

それは神の意志だからだ。

エンタメに流されてしまう展開のようでいて、実に深いテーマが奥深い所で流れているんですな。いや、素晴らしかったです。

戰御史 -Ikusaonsi-

戰御史 -Ikusaonsi-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/11/24 (金) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★

劇団壱劇屋そのもののいつものスタイリッシュな造形感はあまり感じられないが(大熊と竹村との違いか)、それでも殺陣が実の迫力にみなぎり美しい。これもスタイリッシュといってもよいのかもしれない。
とにかく、あっという間の60分。途中サリngROCKが出演し、劇のイメージを怪しげに彩っている。これもまた、現代の演劇なのである。

未来へつむぐ

未来へつむぐ

つむぎジャパン

大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)ホール(大阪府)

2017/12/02 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

満足度★★★★

決してあの時の話だなんて思えない作り込みである。大人数で出演の、誰もがセリフをきちんと自分のものにしている。リアルな劇である。まさに、命の尊さと権力の異常さを前面に突きつける。
そう、この題材だけは未来へ、若い人を通して、語り継がなければならない。それは人間として当然の行為だと思います。力作です。

サヨナフ

サヨナフ

くじら企画

ウイングフィールド(大阪府)

2017/12/15 (金) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

脚本、演出もウイングフィールドという小さな劇場を十分に意識し、これ以上ない出来の劇である。演劇的には本当に素晴らしい出来で、目を見張る思いである。
ただ僕は、犯罪を犯した当時の19歳の青年に、女優を配したのがちょっと解せない。やはり男優の方がよかったのではないかと思っている。何故殺戮したのかという問いには、ストレートに男優を配しなければその問いには答えられないと思うからである。

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