偽者ラプソディ
劇団A級戦犯
タイニイアリス(東京都)
2007/08/17 (金) ~ 2007/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
久しぶりにこういう芝居を観れた喜び
若さゆえのエネルギッシュ。商業主義とは無縁の、エネルギッシュ。やりたい放題のエネルギッシュ。笑いの質が、たとえば「屁」に代表されるようなクダラナイタイプのものが多いのだが、そのガキっぽさがまた非常に魅力的。とはいえ台本は、陥穽多く完成度は低いながらも、或る意味では、なかなかに上手いと思う。役者1人1人のキャラも見事に立っていて、それぞれがいい味を出している。さすが明大騒動舎出身者劇団。というか、これこそ騒動舎スピリッツの理想形。硬派系ドリフ系ちょっと屈折系のコメディに、往年の騒動舎黄金期(ジョビジョバ、悪運ダイヤなどが注目されていたころ)の甦りを感じて、すごく嬉しい気分。昨今ちまちまとした芝居が多いなかで、こういう勢いのあるバカ芝居を観ると、気分がパーッと晴れやかになる。今後もずっと追いかけてゆきたい。
再演とプレビュー公演
ハイバイ
アトリエヘリコプター(東京都)
2007/03/14 (水) ~ 2007/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
「おねがい放課後」凄い、凄すぎる
名作の誉れ高き「ヒッキー」(約70分)、いろいろな要素をセンスよく凝縮させた、完成度の高い短編コメディだが、会場が五反田団アトリエ、出演者も五反田団の人だったりするので、自分はハイバイを見に来ているのか、五反田団を見に来ているのか、はたまたむっちりみえっぱりなのか、青年団の番外公演なのか、その境界線が時としてボヤける印象を抱いた。しかし、一方の「おねがい放課後」の圧倒的な強度、これには力強い「ハイバイらしさ」を痛いほどに感じることができた。驚異的傑作である。緩やかな日常性と激烈な非日常性のダイナミックな転換。荒唐無稽でありながら繊細に描き出される青春の甘酸っぱさ。随所に様々な形で「演劇論」が提示されることにより自己客観視を怠らない周到さ。そしてなにより人間の存在に対する深遠なる洞察。岩井にとっての「8 1/2」(フェリーニ)的到達点といえるかもしれない。そして今のプレビューキャスト、必ずしも完成度が高くない役者であるからこそ、むしろこの、壮大にして豊饒なるハイバイワールドを「いい味」で表現できていると思う(それもまた演劇論の提示であろう)。ある意味、本公演以上に、貴重であり必見の舞台ではないかと思われる。