BowChaser51の観てきた!クチコミ一覧

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揺れる中吊り

揺れる中吊り

ガラ劇

明石スタジオ(東京都)

2018/11/28 (水) ~ 2018/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/11/28 (水) 19:00

明石スタジオを約1ヶ月貸切って行われている空間演劇祭の主催団体「ガラ劇」のプロデュース公演。題して「ガラプロ」。GYPSY VAGABONDZの生演奏をバックに展開されるガラプロももう三回め、本公演とはまた違う魅力があります。バンドとコラボしているので、ガラ劇の特徴のひとつであるセリフ回しと間が、より重要になってくる公演形式です。
さて女性キャストのみで展開される本編はというと?(あくまでも私の解釈です)

ネタバレBOX

満員電車に揺られ押され揉まれて、少年が助けを求めるように見上げた先には週刊誌の中吊り。
そこには「今」の事件が踊っている。
毎週変わる週刊誌の中吊りは、過去から現在まで積み重なった人間が落としてきた「影の歴史」でもある。
少年はいつの間にか中吊り世界に吸い込まれ、ヘンゼルとグレーテルとなって影の世界を旅する。
迷える子供をおびき寄せるお菓子の家は、宗教勧誘か?オウム真理教のサティアン(ヨガからの水中修業のイメージ)そしてサグラダファミリア(聖家族贖罪教会)。贖罪とは罪を金で濯ぐこと。新興宗教の一面の有り様をチクリ。
水のイメージ繋がりから雨。タイの少年洞窟遭難事件へ。13人(12人の少年とコーチ)を救うため水に潜り救出に向かう父親(実際の事件とは違いますよ)が着用するのは何故かガスマスク。イエスの方舟を思わせるシーンを挟みながら、家からの電話を無視し続けていた少年、ようやく電話を取るが、母との会話は途中で切れる。そこから7月の西日本豪雨による土砂崩れの世界へ。
そして電車の中へ戻る。
ガスマスクをした男が毒ガスを撒く。
地下鉄サリン事件の死者13人。負傷者数千人。
そして、2018年8月。教団幹部13人は絞首刑となり宙吊りとなる。
視点はラストで一気に少年から客席に戻り、観たものが我々が歩んできたことと知らされる。
ここでいう「影」はshadowではなく人間の「姿」そして「営み」の意味ではないだろか。
ガラ劇らしい言葉遊びそれから連なる韻文的展開(要するに「詩」のようにイメージが飛ぶ)とエンターテイメントを挟みながら、いっときは熱狂するが、しばらくすると忘れてしまう、忘れてはいけない歴史に学ばず、忘れてしまう人間の有り様を風刺・批判している作品に見えました。

こっちとそっち

こっちとそっち

劇団時間制作

萬劇場(東京都)

2018/11/14 (水) ~ 2018/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/11/18 (日) 19:00

地域差別地区にあるアパート。
経営する一家。住人達。訪れる人達。
それぞれ紡ぎ出す群像劇から始まって

ネタバレBOX

それぞれが響きあい、ひとつの流れとなって迫ってくる。
因習。文化。付き合い。
人を不当に縛るものからの解放。
縛られるな!
自由に、強く、生きろ!
他者を認めろ!
解釈を提示せず観客に任せてきた今までの時間制作にはない、強烈なメッセージを言葉として表明した佳作。
もしかしたら、谷碧仁さん自身も過去の「時間制作」からの解放を試みたのかも知れない。
長く澄んだ夜

長く澄んだ夜

青色遊船まもなく出航

シアター711(東京都)

2018/08/23 (木) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

ファンでさえも「え?」と思わせるしつらえ。
淡々と短尺の映像を重ねるような小さな世界のリアルな積み上げ。
淡々と時間と場を渡ってゆく、人の営みを照らすスポットライト。
かと思えば、つかこうへいを思わせるようなダイナミックなザ・演劇。
ラスト近く、群像劇の収束(整列?)に肌が粟立った。
いや世界が繋がるという意味ではスポットライトからの明転というべきか。
演者さん達を星々であると例えたら
この作品は作・演、白井ラテさんの次なる世界へのビッグバン?
マジすげー
観劇が楽しい。

普通

普通

劇団時間制作

サンモールスタジオ(東京都)

2017/06/28 (水) ~ 2017/07/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

B班を主にAB両班を観劇。
他人から異常に思えることも本人には「普通のこと」だったり。
自分の「普通」を保つ為の距離感を維持できなくなったときに登場人物の数だけぶつかり合う「普通」。
それはキャラクターそれぞれの「幸せ」への願望によって積み上げられていただけに切ない。
コミカルを取り混ぜながらも観ていて辛くて重い谷さんの時間制作。
今作はラストで去っていく真美の幻影に救われました。
出演者にも恵まれて、私的2017年1月~12月期No.1の観劇作品でした。

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