満足度★★★
楽しんできました。
観終わった感想として、一言、面白かったです。
少なくとも、払ったチケット代以上は楽しませていただきました。
最近の舞台は歌やダンス、早い展開でテンポよく見せかけ、ギャグを入れ込んで笑いを取り、客に媚びる物が多い中で役者の演技や演出で勝負しているお芝居だと感じました。
後、舞台とは関係ありませんが、入場時に前に並んでいた、おばちゃん?おばあちゃん?の集団が「ペア券?の一人は昨日に入場し、私は昨日来れなかったから、今日来た。入れるんでしょ?」と受付さんに詰め寄っていました。
演劇が一般に浸透して、幅広い層で受け入れられてるんだなと思う一方で、モラルの低さに驚きました。
萬劇場ですが、階段が長く、トイレが同じ階になく不便です。
また掃除も行き届いておらず、至る所にほこりのかたまりがあり不快でした。
ネタバレBOX
1幕
ハナの演技が光りました。女性の強さや弱さ、母としての心情や心の動きを良く表現されていたと思います。
ただ、ビリーがひどい。演技は勿論、役の理解度、動き、表情、どれをとっても未熟?下手?で、観てられませんでした。
薄ら笑いの張り付いた表情で、無意味な手の振り、軽薄そうな父親にしか見えない演技では、あれほど娘を手放したくないと思っていたハナが最後には娘を託すまでに心変わりしたのか、まったく理解できませんでした。
うまく言えませんが、大らかさや優しさ、父親としての器の大きさがまったくなく、ハナ役の女優さんがかわいそうに思えました。
2幕
笑いの取れる一般受けする作品と言う印象です。
演技も含めて楽しく観れました。マービンの演技はわざとらしい印象を受けますが、翻訳されたセリフも含めて良い意味でのオーバーアクションで海外の作品だからこそ、ありな表現だと思いました。
ミリーの最後にすべて受け止める決意を見せた演技は、女性の強さをうまく表していたと思います。
3幕
安定して見られた印象です。
シドニーとダイアナ役のお二人は普段から仲の良い方なのかな?と思わせるようなものを感じさせる演技でした。
4幕
2幕と同じくコメディタッチで一般受けする作品だと思います。
ただ、2幕とは違い、作品が役者の演技の未熟さを救った印象を受けます。
男性陣は熱演と言っても良く、特にキレる男は変な演技のいやらしさを感じず、良かったと思います。
それに比べ女性陣の方は、正直いまいちでした。
役の作りこみ、セリフ、演技、どれをとっても中途半端の印象です。
コメディなので、騒いでたり、声を大きくするだけで演技しているように見えているような印象を受けるかもしれませんが
正直、女性陣の演技でこの作品の評価が下がりました。
ルームメイキング
これはニールサイモンの作品ではなく、オリジナルの作品と思いますが、話は良く出来ており、ラストは音楽と照明でほろっとさせられました。
ただ、声が小さくセリフが聞こえなかったり、演技がいまいちなこと、動きがとろい印象を受け、練習不足なのかなと思いました。
全体のこと
海外の作品の翻訳と言うことで、セリフが素直に入ってこない分、違和感を感じました。
翻訳されたセリフを客に受け入れやすいように、手直しするのはだめなものなのでしょうか?
1幕の「ハローハナ」って、あんな言い方は日本人の言い方のハローで、正直違和感があり、それならまだ「こんにちはハナ」の方がすんなり入ってくると思います。
3幕のイヤを連呼するところも「オスカーもOOOもOOOも全部大嫌い!」の方が受け入れやすいですし4幕のクソの連呼は女優さんのいまいちな名演技もあいまって、変てこな印象しかありませんでした。
ヒンデンブルグとか、アドレースチーブンスとか、聴き慣れない固有名詞が出てくるので、せめて他のものだけでも受け入れやすいセリフだったら、もっと理解できたのではないかと思います。
舞台セットの窓が額縁に見え、安っぽかったです。
位置は背景を変える必要があるからあの高さなのでしょうか?
窓を覗き込むシーンの時、不自然でした。
ルームメイキングが背景を変えるのは演出家さんの遊び心が見えてよかったです。
あと、扉は良く出来ているなと思いました。全部作りこむと違和感があり、上部の波状の切れ込みがなければウエスタンにしか見えなかったと思います。
他には2幕のキャリーバッグの中身がまったく入ってないのが気になったり、タバコとライターを2つの部屋においてあったり、少し不自然に思うことがありました。