THE BEAUTY QUEEN OF LEENANE
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2017/12/10 (日) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
Should I be as I am, or shouldn't I be as I am ?
と心揺れる女性主人公モーリーンの行動の先にあるものは...
作劇の妙と切れば血の出る思いに裏打ちされた、シアター風姿花伝
という劇場名にあった序破急の劇的な展開をみせてくれる濃密な舞台作品。
かんかんじいちゃん、
green flowers
シアター711(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
古くからある銭湯が舞台というやや手垢の付いた題材ではあるものの、
人物造形にすぐれた安定感のある台本、巧みな俳優陣のキャスティングの妙
そして台本と俳優の立ち上げ方を心得た飽きさせない演出の三拍子が揃った、
幅広い層が楽しめる会話劇。
グーグス・ダーダ なになにもなになにもない NO nothing nothing nothing
果てとチーク
王子小劇場(東京都)
2017/05/01 (月) ~ 2017/05/02 (火)公演終了
ディスポーザブルチルドレン(disposable children)それに関連しての
リフォーミング(reforming)そしてポストドラマ演劇といったあたりを
大まかに押さえておくと、観劇の際の展望がかなり開けるはず。
東海道四谷怪談
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2015/06/10 (水) ~ 2015/06/28 (日)公演終了
黒衣が活躍する舞台作品
物語構成や音楽面などいろいろあるとは思いますが、スタイリッシュで挑戦的な演出が目立つ、また、後見としてのそして大道具としての黒衣が大いに活躍していた舞台作品という印象を受けました。
燦々
てがみ座
座・高円寺1(東京都)
2016/11/03 (木) ~ 2016/11/13 (日)公演終了
江戸のレンブラント
お栄が応為と名乗るまでの物語で、観客にvividなイメージを喚起させる演出手法などを駆使していろいろな意味での光と影(光と闇)を描こうとする意欲に溢れてはいる。が、すでにfamiliarな題材で(『眩』との対比ということもあり)、戯曲における人物造形や内面描写の点で己の画風を追求模索し自問自答するお栄の心境のような印象が残る舞台。
上演時間は休憩なしの約2時間10分。
ヴェローナの二紳士
ハイリンド
吉祥寺シアター(東京都)
2013/07/08 (月) ~ 2013/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★
淡白なシェイクスピア?
後の数々の名作につながっていくシェイクスピアの片鱗が垣間見れるような作品です。今の観点からすると、話の展開に不自然さや強引なところもあります。例えば、終盤で、ヴァレンタインがプローティアスに仲直りの友情の証として、本人の同意もなく、シルヴィアを譲ろうとし、それを見ていた変装したジュリアが卒倒する場面などはいきなりこんなのアリ?と思ってしまいます。一貫性のなさこそがまさにシェイクスピアらしさということでしょうか。
が、新訳をひっさげてのスーピーディーな台詞回し、吉祥寺シアターの劇場空間をうまく使ったきびきびとした演出もあって、喜劇としてみればあっててもいいのかなと思える飽きのこない作品に仕上がっていたと思います。
ただ、スピード感を重視しすぎたこともあるのでしょうが、もう少しじっくり観たいかなというところもあっという間に進んでしまいあっさりし過ぎている場面が多々見受けられたのは、もったいなかったかなという気がしました。
また、最初のキャッチボールから始まる意味不明?の場面は最後の場面につながりますので、それは観てのお楽しみということで。
かけおち
TOKISHIRAZ
ザ・ポケット(東京都)
2017/08/01 (火) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
舞台版『かけおち』は、デフォルメされた人物設定や強引とも言える展開など
つか作品の特色が色濃く残っていて、9PROJECT 第3回公演で初めて観劇、
今回で二度目。
大量のセリフを早口でまくしたて熱く激しい口調でがなり立てるだけが、
つか作品を引き立たせるすべではなく、台本構成と演出の工夫次第でそれとは
また違った切り口で作品のおもしろさや魅力を際立たせられることをみせて
くれる舞台。
また、舞台面の高さを十分高くとっていて、座り芝居が多くなる後半でも
役者さんの演技がみやすくなっているところも観客の目線に立っていて好印象。
『TUSK TUSK』(タスク タスク)
あうるすぽっと
あうるすぽっと(東京都)
2015/12/10 (木) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
作家の役割とは
題名にあるように実際に"Tusk Tusk"というわけではないでしょうが、出演者演出家を含め皆さんが原作にがっちりと取り組み格闘した成果が大いに表れていた舞台でした。
特にこうした題材の場合、問題を解決してみせることではなく今そこにある問題をていねいにすくいあげいろいろ手を尽くしきちんと正しく提示してゆくことが時として(劇)作家の大事な役割の一つなのかもしれないと思わせてくれる作品であったようにも思います。
ただ、オープニングのところあたりには劇場側の姿勢にやや疑問を感じました。
いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK『乱鶯 みだれうぐいす』
劇団☆新感線
新橋演舞場(東京都)
2016/03/05 (土) ~ 2016/04/01 (金)公演終了
意気込みだけが空回り
正統派時代劇をベースに新しい本格派時代劇の舞台をつくろうという意気込みは伝わってくるのですが、いかんせん実際との隔たりが大きく、構成バランスの不味さや人物造形の浅さなどどうも粗さが目につき、意気込みだけが盆にのって空回りしているような印象を拭えませんでした。
治天ノ君
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★
自分のありかたを求め続けた者の姿
人物設定がやや単純化されている感はあるものの、己の定めから逃げず天皇としてのあるべき自分のありようを常に真摯に求め続けることに努めた大正天皇をはじめとして登場人物たちが皆独自の思いや考えを持ち自身と向き合うひたむきな姿が印象に残る、情緒性に溢れると同時に格調の高さもうかがえる舞台作品だったと思います。
深海大戦争
パラドックス定数
上野ストアハウス(東京都)
2016/04/05 (火) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
神vs.知性
大義としての神を手にした抹香鯨一族と武器としての知性を手にした大王烏賊一族との北極海での最終決戦の結末はいかに。進化を大きなテーマのひとつに展開される物語(異種間だけでなく有機物と無機物の間でも共通言語で意思疎通できることが当然暗黙の前提になっていますが)ですが、キャラクターがより魅力的になり緩急が効いた台本と照明効果が抜群で、シェイクスピアの史劇的な雰囲気も漂う、見事なリターンマッチの作品になっていたと思います。
上演時間は約1時間45分。
SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】
壱劇屋
王子小劇場(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
しなやかさ
キューブの各面が完成されるごとに謎が明らかになってゆく(作品としての)流れは、しなやかで躍動感にあふれたムーブメントと相まって、点から線へそして線から面へと見事につながっていたと思います。
また、ステージゲストの方の話は時として芝居の進行の本筋から大きく逸脱することもありますがそれにも臨機応変に対応し流れに合わせて本筋に回帰できる柔軟性も備わっている劇団のようにも感じました。
兄弟
劇団東演
あうるすぽっと(東京都)
2016/03/30 (水) ~ 2016/04/03 (日)公演終了
満足度★★★★
見事に再構築された舞台作品
上巻の文革篇、下巻の開放経済篇と原作はかなりの長編で(舞台化ということでやや個々の人物描写が浅くなったり説明的になったりすることはどうしても避けられませんが)、それでもそのよさを活かしながらうまくエピソードを紡ぎ見事に再構築されていた脚本演出家の手腕そして堅実な出演陣の熱演が光る舞台作品になっていたと思います。
上演時間は約2時間45分(途中休憩15分を含む)。
夕陽伝
ワタナベエンターテインメント
サンシャイン劇場(東京都)
2015/10/22 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
相性抜群のエンターテインメント活劇
日本の神話特に古事記のエピソードをモチーフとしたエンターテインメント活劇ですが、末満さんの脚本と岡村さんの演出の相性が抜群で、疾走感にあふれストーリ性豊かでありながらもせりふの思いが観る側にきちっと伝わってくるしっかりした劇構成、映像、音楽、魅せる殺陣満載のアクションのバランスが実によくとれていた作品だったと思います。上演時間は途中休憩無しの約1時間50分。
いつかの膿
VAICE★
駅前劇場(東京都)
2016/03/01 (火) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
人の心の奥底にあるもの
生きている人間の現在、その人間誰しもが心の奥底に抱えている欺瞞や傲慢さといったものが次第に露呈してゆく様が緻密に描かれ、緩急のバランスがうまくとれていた作品だったと思います。
上演時間約100分。
ポンコツ大学探険部
ラッパ屋
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/06/27 (土) ~ 2015/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★
人生に迷えるすべての人への応援歌
大学の寄付金集めの90周年記念式典とパーティーに参加するために集まった探険部OBと現役部員が繰り広げるあれやこれやといった一夜の物語ですが、セリフのうまさに加え構成が実によくできています。
ほろ苦さを含んだ泣き笑いの連続の中に人に向ける優しく温かい眼差しを感じさせてくれ観る者の心をencourageしてくれる久々ににラッパ屋本来の持ち味がよく滲み出ていたというからしさが戻ってきたのではという作品になっており、鈴木節が大いに炸裂していたと思います。上演時間は途中休憩無しの約2時間。
地を渡る舟 ―1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち―
てがみ座
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
teamworkは健在ですが
人物造形にふくらみが出て人間ドラマとしての幅が広がり戯曲がさらに深みを増しています。舞台そのものも極めて水準の高い作品であり、1945年から現在に滑らかに移行してゆく最後の場面はすばらしく、役者さん、裏方さんが舞台裏では大変ご苦労されていたと思います。
ただ、可動性の高い舞台装置とマンパワーを駆使した新演出は一つの試みとしては面白かったのですが試行錯誤的で(決して悪いことではないのですが)全体的にどうしてもバタバタした感じが目立ってしまい、初演の時に感じられた躍動感と鮮明なイメージを呼び起こす舞台の冴えがかなり影を潜めてしまったような印象をぬぐえませんでした。
また、制作の姿勢に疑問あり。
上演時間は約2時間半(10分の休憩あり)。
再びこの地を踏まず
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2015/11/06 (金) ~ 2015/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
人間とはいびつなもの。
人物設定や劇構成にはいろいろあるかもしれませんが、作者の、人の見方捉え方がそのまま反映されているおもしろい評伝劇。
人というのはいびつなもので、その度合いが大きいほど人間的な魅力も大きくなる。が、同時にそれに関わる人々も大きく振り回されることになる。そんなことを感じさせてくれる作品でもありました。
上演時間は約2時間30分(途中休憩15分含)。
三人吉三
木ノ下歌舞伎
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2015/06/13 (土) ~ 2015/06/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
EDOとTOKYO
百両の金をめぐる因果の糸で結ばれた登場人物たちを緻密な構成で描いた黙阿弥の世話物ですが、原作戯曲を十分リスペクトしながらも緩急をつけわかりやすく現代性も取り入れた切り口で俳優陣の熱演も含め総力をあげて見事に再構成していた舞台作品になっていたと思います。
最期の場面や復活させた「地獄の場」の上演の仕方にはいろいろあるとは思いますが、廓話も含め、黙阿弥の原作のほぼ完全版に沿った形のものを通しで今回観ることができたのはたいへんよい機会でした。
上演時間は途中15分、25分の2回の休憩を含め約5時間(本公演は多少の変更の可能性あり)。
島 The Island
キダハシワークス
芸能花伝舎(東京都)
2015/09/06 (日) ~ 2015/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★
人間の本質(とは何か)を対話を通して問いかけてくる作品
息のあった俳優二人がみせてくれるテンポのいいコミカルな演技を通して、
人間の尊厳、真の優しさとはといったことを問いかけ考えさせてくれる、また、
会場にあわせた効果的な演出も光る作品になっていたと思います。
上演時間は休憩無しの約100分(演出家の短い前説付き)。