実演鑑賞
満足度★★★★★
自分は普通・一般から少し外れてはいるもののマジョリティのほうの人間だと思っているので、「マジョリティはどうすれば自分のマジョリティ特権に気が付けるか」というテーマ、の説明を見た時ちょっとものおじしたのですが、interestingな面白さでした。
言葉は悪いかもですが「説教くささ」がなく、説得力があり、「お話」としてのおもしろさ(funnyも含む)もしっかり感じられ、だからこそ各登場人物に、その人物たちが重なる風景にすっと思いを馳せられました。
役者さんの力量か、登場人物皆の説得力がすごく、なんだか自分のこと・自分の未来のこと・自分が持ってる一部分を見透かされているようで「うわ…」と思うところもあったのですが、厭な感じはなく、フィクションと自分の今いる現実のほど良い境界をあるきながら目の前の時間を見つめることが出来たように思います。
物理や幻想に寄りかかっても障害から逃げてもいいし、それを他人とどうにか運良くすり合わせられたら幸せだなと個人的に思い、観る前に思っていたより染み入ったし、それでいて観了後心や足取りが軽いなと感じます。現実の老いへのおそれや他人や自分の心との衝突は確かにあるけど。
また、この公演では観劇サポートが実施されており、まず10分前からある舞台美術や登場人物、物語の背景の解説がとてもよかったです。手話通訳付き、音を出したり位置関係や容姿の説明を言葉で簡潔に伝えており、完璧ではないのかもしれないけれど、こう説明するのかという気付きも得られましたし、どういう劇空間にしたいかというのに触れられたのが良かったです。自分が目が見えにくくなったり耳が聞こえにくくなっても楽しめる手段がこうしてできていくのかもしれないなと思うと安心もできるので、このようなサポートは応援したいなと思います。
手話通訳者さんのお名前を知っておきたかったなあと思いました。