アトレウス 公演情報 アトレウス」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    ①初日。開演時刻ジャストに開演。そんなことをわざわざ公言しなくてもやれることであり、当たり前であることを示してくれた。観劇予定の人は心して行くといい。
    砂地が揺るぎなく砂地であることが嬉しかった。その上で、進化し、最上級の砂地を披露してくれた。至福の時👍
    ②暗い照明、静かに鳴り続けるノイズ、バケツの水の反射光……砂地らしさが生み出す張りつめた空気に酔いしれる。素晴らしい演劇の世界がソコにある。
    開演してすぐにクライマックス。そしてクライマックスの連続。その疾走感に振り落とされないようにしがみつく。
    ③主宰の船岩祐太氏の今作における最大の功績はコロスの使い方。群衆ではありながら、個を際立たせたことで、言葉が力を持った。群衆というより民衆であり、社会の現状を表し、世論の力を示した。それを見事に具現化した6人の女優が素晴らしい。コロスあっての本作だ。

    ネタバレBOX

    ①初日。開演時刻ジャストに開演。そんなことをわざわざ公言しなくてもやれることであり、当たり前であることを示してくれた。観劇予定の人は心して行くといい。
    砂地が揺るぎなく砂地であることが嬉しかった。その上で、進化し、最上級の砂地を披露してくれた。至福の時👍
    ②暗い照明、静かに鳴り続けるノイズ、バケツの水の反射光……砂地らしさが生み出す張りつめた空気に酔いしれる。素晴らしい演劇の世界がソコにある。
    開演してすぐにクライマックス。そしてクライマックスの連続。その疾走感に振り落とされないようにしがみつく。
    ③主宰の船岩祐太氏の今作における最大の功績はコロスの使い方。群衆ではありながら、個を際立たせたことで、言葉が力を持った。群衆というより民衆であり、社会の現状を表し、世論の力を示した。それを見事に具現化した6人の女優が素晴らしい。コロスあっての本作だ。④キャスト全員の声がイイ❗それもキャスティングの要素に違いない。アキレウスの藤波瞬平さんのクリアな美声に嫉妬する。一場の彼の格好よさは、まるで劇画だ。
    高川裕也さんのアガメムノンの、君主としての選択が父親としての絶望であり、心を引き裂かれる思いに涙😢
    ⑤初日のMVPはエレクトラ。永宝千晶さんの憎悪の表出に背筋が凍る。その感情に澱みがない。憎しみ、復讐心、執着心……負の感情の呪縛。まるで『クリスマスキャロル』のスクルージに巻き付いた鎖のごとく、目に見えるようだった。あの男の死体に狂喜する狂気に震えた。
    ⑥アクセルを踏み込んだのはイピゲネイアの岩野未知さんだ。張りのある声で発せられた言葉が真っ直ぐに突き刺さってくる。戸惑いと悲しみと絶望……やがて自己存在価値……いや、死の価値を見出だしたある種の高揚が立ち上る。偶像化した美徳と潔さが、彼女の容姿に似合う。
    ⑦天乃舞衣子さん演ずる予言者カッサンドラ。罵倒されながら、起こるであろう惨劇を叫ぶ姿にジレンマと絶望が漂う。ポップでパンク(ヤンキー⁉)な出で立ちでありながらも滲み出るセクシーさは、死してなおエロティックだ。主宰するみそじんでの姿とは真逆にある。眼福😍
    ⑧生と死を結ぶ6本の血塗られた綱が絡まり導くのはあの世かこの世か…天国か地獄か。人はみな何かに翻弄されて人生をさ迷う。コロスが操る綱が民意であるなら、権力に怯まずに正義や倫理に鑑み声をあげる勇気を讃えよう。ならば、神の名誉をぶら下げられて萎えるのは収賄⁉
    ⑨2回目。見えないなら想像して❗天乃舞衣子さんの「神々~❗」に後光が差す。アガメムノンとコロスの応酬に向ける泳ぐ視線から不安が立ち上る。その対極にある、白いアレを脱がさせるエロティシズムが、葬られた🛀から突き上げられた白い脚によって神の領域に踏み入れた💘
    ⑩演劇はスリリングだということを再認識する素晴らしい作品。開演5秒で作品の成功を知る。
    おかしくなっているのはこの世界の方で、恐ろしいのは神々じゃなくその下にいる人間たち…であるなら、コロスが軍隊のように踏み鳴らして回しているテーブルはきっと世界🌏だ
    ⑪コロスが担う大衆のシュプレヒコールはブンブン五月蝿いハエ。アガメムノンの妃のハウリングも同様なら、オレステスにもエレクトラにも届かない。「人間なのです❗人間なのです❗」神との違いを叫ぶコロスを“慈しみの女神”なる玉虫色の裁定は、まるで現代のバカな政治。
    ⑫父の目論見を知ったイピゲネイアの瞳から目が離せない。三人の娘の父である身には岩野未知さんの視線が突き刺さる。自分が定めた命の価値に囚われ自由を求める彼女の生きる術は…ちょっと可笑しい。逆にアキレウスとのやり取り…これは最上級のラブシーンだ。痺れた💘
    ⑬オレステスとピュラデスの葛藤はメロスとセリヌンティウスのよう。イピゲネイアとの三人の会話の滑稽さは作品に潤いを与える。そこにイピゲネイアの呪文⁉岩野未知さんの「ブッチョ❗」のパワーアップと「カリメーラ」の脱力との振り幅拡大にヤラレた。たまらんなぁ😁
    ⑭永宝千晶さんがエレクトラなのかエレクトラが永宝千晶さんなのか…もうわからない。彼女が発しているのは台詞じゃない。魂の叫びだ。その感情で言いたいことを言っている。だから噛むこともない。母を葬ったことに反発するコロスに戸惑う顔もリアル。弟帰還の歓喜もリアル。
    ⑮コロスの6人の女優さんが個性を輝かせている。団結したり対決したり…社会の縮図だ。皆さん声が素晴らしい❗
    大好きな吉田久美さんの視線……目は口ほどに物を言う。彼女の視線の動き、その先にあるものを考えるだけで、作品の深いところに導かれる。景色を想像する。
  • 満足度★★★★

    壮大なギリシャ悲劇をひとつの家族の物語として再構築した舞台。その壮絶な喜怒哀楽は、我々現代人の感情とは一線を画す神話的な激しさを見せる。

    暴力、愛欲、拘束、殺人。罪と罰。

    大義や信仰のためではない、家族という狭い関係の中の愛と憎しみは、エッジの効いた光と音と相まって、スタイリッシュといってしまうには荒々し過ぎる、ざらつく手触りを感じさせた。

    我々よりずっと神々に近いところで暮らしながら、その信仰は禍々しく、予言は不吉であった。

    女性だけのコロスを民衆の声として、舞台だけでなく客席通路や舞台上のバルコニーなど様々な場所に配し、家族の悲劇を揺さぶり続ける。

    それぞれに印象的な登場人物の中で、アガメムノンの妻 クリュタイムネストラの母としての顔と女の顔、そして、愛人とともに夫を手にかけた後の迷いのない佇まいが印象に残った。

  • 5つのギリシャ悲劇をもとに紡がれた物語。いかにも古典的に始まったあの冒頭からあの展開は予想できなかった。中盤以降、どんどんと衣装も発話も音楽も現代的になっていく。最後はZARA店内でかかってそうなダンスミュージックに乗せて劇場の外の現在の世界と同化するように、疾走感すら。あれはなんだったんだろうと、いい意味であと味たっぷりで劇場をあとにした。

    娘を神々の生贄に捧げたギリシャ軍の総大将アガメムノン。その妻クリュタイネストラは、夫が不在の10年の月日を愛人との情事にふけることで慰め、凱旋した夫を娘の仇にと殺害する。その10年ぶりに再会する将軍と妻のシーン、迫力あった。大沼百合子さんという女優さんの、諦念と飼いならされた復讐心、嫉妬、鋭い狂気等々、女のエロスに魅せられた。さらにそのクリュタイネストラのもう1人の娘・エレクトラ役の永宝千晶さん(文学座)も、若く美しい女が、だんだんと女将軍のように強くたくましく威厳をたたえていくのが魅力的だった。

    そして、途中からボーンと入ってくる音楽は、トリップホップ!Smith&Mightyの『Same』、MASSIVE ATTACKもかかっていたか。低音ベースラインがボーンと一拍目で入ると同時に、舞台空間が縦横大きく転換し、物語も大きく展開するというその一瞬間がたまらなかった(トリップホップ好きだし)。全然主眼じゃないだろうけど。。ギリシア悲劇と、トリップホップの空間を切り開くベースラインと浮遊感がめちゃめちゃ合ってるように思え、そんな”この一瞬”を観れたのが満足。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/02/09 (木) 19:00

    座席F列16番

    複数の悲劇を組み合わせて構成されており、そのさまはアトレウス単体と言うよりは大河ギリシャ悲劇「アトレウス家の一族」総集編…みたいな。(笑)
    照明に浮かび上がる人物や装置など、画的に美しく、絵になる場面が沢山。
    いろんな組み合わせ方で使われる4つのテーブル状の装置は「ハムレット」での水槽(だったっけ?)を想起。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/02/12 (日)

    ギリシャ悲劇ということで、ついていけるか、理解できるか(ストーリーもそうですが、カタカナの名前が覚えられないという…)、しかもこの時差ボケの頭で…、と少し不安でしたが、そんな不安なんてまったく杞憂、とてもわかりやすく、でも考えさせられる深さがあって楽しめました。

    ネタバレBOX

    娘を生け贄として差し出さなければいけない父、母を殺さなければいけない息子…今の日本では考えられないストーリーですが、だからこそ考えさせられるお話でした。周りに殺せ、殺せとけしかけられ母を殺し、殺したら殺したことで責められる…その苦しみが好演されていたと思いました。

    個人的には天乃舞衣子さんの迫真の演技がとても印象的でした。
  • 満足度★★★

    鑑賞日2017/02/09 (木)

    ネット民とギリシャ悲劇という着想や舞台美術はgood.

    主要人物の中で関係性や時間という重みが効いていないため、単発的なモノローグという感じで、関与するコロスも滑ってる感じがする。
    当事者の物語とずれたり合ったりすることがコロスやネット民を考察する上では旨味なのだろうとは感じる。
    代替案としては、家族内のコミュニケーションを感情的なだけのモノローグ的ではなく、近いがゆえの複雑さにまで高めること。コロスが物理的な方法だけでなく、精神的にも観客へ深くアプローチした方が良いと感じる。

    個々の技術の面でいうと台詞の的の絞りや強度のチョイスに、巧拙ばらつきがあり、流れを妨げている。
    活字情報は伝われど、それ以上の深みは感じなかった。
    アクションも芝居との糊代が透ける感じがした。
    全体として向かう方向が面白いだけに 悔やまれる。

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