隅田川/娘道成寺 公演情報 隅田川/娘道成寺」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★★

    [隅田川]と[娘道成寺]の二作品でしたが、両方とも素晴らしかった。

  • 満足度★★★★

    木ノ下歌舞伎は「三人吉三」以来久々の観劇。杉原氏と白神氏が演出に加わり、女性二人のソロ舞踊二演目という趣向だ。
    どちらも女の哀れな物語という知識のみで観劇に臨んだ。
    ガッツリと舞踊を堪能したが、両者それぞれの特色をバランスよく味わったと行きたい所、「隅田川」に物足りなさを覚えた。壁際からの観賞だったせいか白神ももこの踊りのパッションが「動き」から今一つ伝わって来なかった。単純な話が動きが凡庸で緩急が少ない。踊りを支えるべき激しい情動が表面に表れて来ず、その理由を色々と考えてしまった。
    黒子を使っての隅田川観光案内の導入は面白いが、歌唱ショーを経て唐突に本編に入る。歌詞の「梅若丸と」で何度も止まり、ついに立ち尽くす母の姿から、本格的に「踊り」による「隅田川」が始まるが、上部を削った円錐形の台を塚などに見立てながらの踊りが、まずストーリーに対応させた動きとしては説明不足で、内面の抽象的表現とすれば情動が足りない、という感じ。
    芝居の振付やワークショップに活用される「素人でもやれる」動きを追求しているがために「プロのやる表現」への衝動に自制がかかっているのではないか、あるいは今日は体調が良くないのではないか、と勘繰る程に体を鍛えている人と思えない簡単な動き、予想の範囲内の動きしか(私から見ると)繰り出されない。それ自体が自立したパフォーマンスとして成立しておらず、ストーリーを知る者がそれをなぞって見るには十分かも知れないがそうでない者には物足りない、私には不満の残る時間だった。
    一方のきたまりによる「娘道成寺」は三味線と唄に乗せての正統な舞踊で、ただし古典でなく独自な、切れのある多彩な表情を見せる踊りだった。最初床に敷かれた布が奥に吊られたり、釣り鐘に姿を消すラスト(確か金田一耕助シリーズの映画で見た)を幕で表現したり、赤い衣装が剥がれて光沢のある銀白の衣装に変わったりの演出と、次第に狂気じみていく動きは見事だった。圧巻は、ギリシャ風の銀の衣裳と、黒髪を雑に結った上げ髪の「和」の取り合わせ。ゾッとするギャップを作って狂気そのものだった。
    終演後にまた考えてしまったのは、「踊り」の手数は多くないとは言え、白神氏の動きときたまりの動きの共通点。演出の白神氏はきたまりの完成された踊りを念頭に、これと並べる出し物のバランスに最後まで悩んだのではないか・・勝手な推測もここまで来れば戯わ言の類かも知れぬが。

  • 満足度★★★★

    隅田川のほうは、前半は、白神ももこのちょっとへたな歌謡ショーと間違えるような表現でしたが、後半は、結構現代舞踊らしさがあってよかったし、娘道成寺のほうは、もともと長唄の名作を維持しながら、きたまりさんのど派手な衣装とど派手な演出が、現代の長唄としての娘道成寺を現代に蘇るという表現がよかったね。とてもよかった、120分でした。

  • 満足度★★★★

    ■約120分(途中休憩あり)
    今回の木ノ下歌舞伎は女性ダンサーによるソロ舞踊2本立て。
    ダンサーとして初見だったきたまりさんの『娘道成寺』はたおやかな舞が実に見事。が、表現が抽象的すぎて、作品の面白みがもうひとつ伝わってこなかった。
    『隅田川』は、ボーイッシュでハツラツとした白神さんには不似合いにも思える悲劇を、信じがたい芸域の広さを見せつけながら白神さんが巧演。吸引力抜群な“独壇場”に魅せられた。

    ネタバレBOX

    白神さんのは、主宰団体モモンガコンプレックスを彷彿させるコミカルな導入部が、以降の悲しい物語を引き立てていて感動ひとしおでした。
    子の死を知らされ悲嘆にくれる母役に快活な白神さんを配するのは配役ミスにも思えたが、これがとんだ見当違い。
    死を知る前の子探しのシーンでは、動きの軽やかさに支えられたせかせかした所作が行方不明の我が子を案じる母の焦燥をこの上ない生々しさで表現。そればかりか、ボーイッシュな風貌を生かして在りし日の我が子まで演じ、子の眠る川辺の塚に舟で至ると、大切なものを失った母の顔を浮かべながら、涙の海でもがくような粘っこい動きでもって筆舌に尽くしがたい物狂おしい感情を表現。
    子の眠る塚に折り重なり、まるで愛撫でも浴びせるように塚をめでる場面には、音が立つかと思えるくらいに激しく心を揺すられた。
  • 満足度★★★★★

    女の情念に満ちた二演目でした。

    ネタバレBOX

    『隅田川』  現代の隅田川界隈をコミカルに描いた後で本題に入りました。そんな昔に京から関東にまでさらわれた息子を探しに来るとは、娘を探しにフランスの森まで出掛け、さらにチリまで行くくらいの凄まじさを感じます。

    『娘道成寺』  やや重めのしなやかで光沢のある白っぽいドレスが蛇を表現していました。かつての男を思い出し、恨みつらみが蘇ったときの表情、特に目の表情が素晴らしく、玉三郎さんが舞っているかと思うくらいでした。

    歌舞伎にも色々な分野がありますが、如何にも歌舞伎ってやつも観てみたいと思いました。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/01/13 (金)

    ネバばれ

    ネタバレBOX

    木ノ下歌舞伎の【隅田川】と【娘道成寺】を観劇。

    二本立てで、両作品とも単独の舞踊である。

    【隅田川】は、人買いにさらわれた息子(梅若丸)を探す母親の苦悩。
    白神ももこ(振付・演出)なのだが、共同演出で、杉原邦生が入っているからか、母親の苦しみを舞踊だけではなく、背景をぼんやりと見せてくるか、更に母親の悲しみを感じながら、共感してしまう。
    彼の演出と構成力は、毎作品ごと記憶に残る作品になっている。


    【娘道成寺】は、好きになった安珍に裏切られた清姫の話である。
    ついつい苦手な舞踊は、背景になる物語をなぞって見てしまい、踊りと物語の整合性を考えてしまいがちだ(男性観客に概ね多い)。
    だが、そんな事は如何に無駄か?という事を感じてしまった作品であったようだ。
    清姫がどれだけ安珍を愛していたか?
    そしてその愛の重さゆえに安珍が逃げてしまったのか?
    この踊りは、清姫の傲慢で、一方的な求愛を描いているのだが、その思いが狂気をはらんでしまえばしまうほど、嫌悪感と愛好感のバランスが取れてくるのが不思議である。
    最初は女性らしい清らかな紅い衣装を身にまとった踊りから、情念の度合いが増せば増す程、紅い衣装が剥ぎ取られ、狂気をはらんだ姿と踊りと表情に変っていく。そしてこの過程を得ていきながら、清姫が行き着いた先は、非常に美しい幕切れになっていく。
    今作は清姫の愛の過程、心情の変化の具合を踊りを通して感じる事が出来るのが一番の面白さでもあるのだが、それ以上に清姫が出した最後の答えを、どのように受け入れられるかで、己の愛の遍歴が垣間見えてしまうのである。

    踊りだけで言うと、シルヴィ・ギエムの【ボレロ】以来の感動である。

    とんでもない傑作である!
  • 重厚な時間を小劇場で過ごせました。『隅田川』『娘道成寺』の順で休憩は20分。両方ともとても良かったです。私は何も知らずに観て楽しみましたが、原作をご存じない方には、当日パンフレットのあらすじを読んでから観ることをお薦めします。前売り完売。全席自由なので劇場へはお早目に。
    詳しい感想:http://shinobutakano.com/2017/01/14/4232/

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