Musical 素敵な世界 公演情報 Musical 素敵な世界」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★

    前世と来世。異なる2つの世界の交錯を同時に生の舞台で表現する。ミュージカルではなかなか見られない手法です。前世と来世を一つの歌と音楽で同時進行させていくシーンも取り入れていて面白かった。観客としては意識をしっかり持たないと置いていかれてしまいそうでしたが。木村涼香さんの声は癒されます。

  • 満足度★★★★★

     実は今作、去年の三月に中野のザ・ポケットで上演されている。但し、その時はストレートプレイとしてである。

    ネタバレBOX

    今回はミュージカルになっているから、ストレートプレイでの科白は、カットされた部分もあるし、歌詞に書き替えられている部分もあるが、基本的に前世と来世という二つの世界が通底しているという構造で組まれている為、その橋渡し役として、来世には拝み屋の先生が居て両世界を仲立ちしている。
    シナリオの基本はドラマツルギーを如何に自然に見えるように紡ぐかであるが、物語の大枠の構造がこのような二項によって成立しているのみならず、其処に仲介役として神秘的な拝み屋が居ることで実は三位一体をも示唆しているであろう。更に、前世では、神を信じる者と無神論者の対立するデュアル構造が二元論の弊害を実に端的に表している点で、現在進められている我が「国」の非理知的な政策とそれを是とする多くの「国民」の嵌っているポピュリズムの行く着く先を示して予言的である。
    美術も凝っていて、死までの時を刻む象徴のような歯車のリムの間には、ステンドグラスが嵌め込まれているばかりか、祭壇迄続くレッドカーペットと祭壇の形も日本の神道建築とキリスト教のそれとを合体したような形だし、祭壇背後にはパイプオルガンを模した構造物が設えられ、中央には、照明によって十字架が必要な時に浮き上がるような仕掛けが作られている。拝み屋は御簾の中に居ることもあり、これも実に効果的である。平安時代に書かれた古典等を読んでいる者にとっては、こういう洒落た配慮も実に嬉しい。正面奥に描かれた杜若らしき花や藤も風情充分である。
    ミュージカルと言えば、歌唱力は大変大事な要素だが、何れの登場人物も実に上手い。登場人物も多いのだが、コーラスは圧巻である。惜しむらくは、音域がテノールの人が多かったので、互いの主張を同時に歌で表現し合う時に効果音とも一緒になって歌詞が聞き取りにくい所が少しあった点である。花星5つにしなかったのは、この点は改良の余地ありと感じたからであった。
    然し、シナリオの科白、音曲の良さ、演出や効果の適確さ、役者陣の熱気と歌の上手さ、美術の粋などスタンディングオベーションに値する。

このページのQRコードです。

拡大