荒野のリア 公演情報 荒野のリア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    リア王の再構築
    川村毅氏が古典を再構築する手腕が斬新で面白かった。
    ただ、現代の世相と重ね合わせても、さまざまな問題を読み取れる戯曲のはずなのに、この舞台から現代を感じることはなかった。
    斬新な再編集がなされ、表現的には鋭利になっているのだが、内容面では矮小化されしてしまっている気がした。私が感じられなかっただけかもしれないけれど。

    麿赤児氏の存在感がすごかった。
    手塚とおる氏もとてもよかった。

  • 満足度★★★★

    麿赤兒=リア on 荒野
    再演という。男優のみによる「リア」。Tファクトリー(川村毅作品)を初観劇である(箱庭円舞曲と迷ったがこちらをとった)。
    三幕一場以降を独自に再構成したという事で、話をうろ覚え(かつ冒頭15分が見れず)では、人物の判別能わず、人名を聞いても役回りをを思い出せず、「物語」は追えなかった。
    かの川村氏が古典をやるんである。その演出や如何。
    麿氏は舞踏家であった。それが見える場面もありつつ、全体に狂気のリアを演ずる。正に荒野がその舞台であり、襤褸をまとって咆哮しながら彷徨するリアが柱だ。舞台は終始「荒野」の様相である。ある場面、まだらに地面を照らすくすんだ赤(紫・鶏頭だか紫蘇の色)が、濃い灰色の地面に投げかけられ、役者は色彩のくっきりした輪郭で登場して明確に動く。正面に幅広・縦にも長い布が下がり、時に映像が映し出され、時にまくり上げられ丸い曲面が上方に垂れ込める。
    初演とは俳優が(一部)変わっているようで、それが今回どうなのかは判らないが、役者の「個性」による判別が、付きづらいと感じたのは、「感情」で演じていないせいだと思われる。
    (俳優もその一部として)演出と一体化した「舞台」を見せる、その中でも大きな要素は音響。場変わりなどの要所で「音」が鳴るが、大音量を澄んだ音でカバーしている。音のクリアさは通常の(大型の舞台も含めて)芝居には無い質の高いものだった。
    加えて映像の存在感も大きく、映像の選択に大きな比重があるようである。

    俯瞰して、「変わった」舞台である事は確かである。
    タイトルでもある「荒野」のモチーフは巧く表現されていた。
    ただ如何せん、「リア」の元を知らないでは、構成の「妙」までは理解できない。今作の趣向の片面はそこにありそうで、玄人向けと言えようか。(作り手はこういう言われ方を嫌うだろうけれど)

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