満足度★★★★★
いつも新しい、いつも刺激的、を体現。
価値観の逆転というか、
善悪の反転というか、
革命の伝染というか、とにもかくにも面白い。
タブーを打ち壊す、というか、ガラスの動物園を破壊しまくるような感覚。
黒い衣裳に身を固めたイグナシオはさながらハムレット。
周りが狂っているのか、自分が狂っているのか?
おもろい。
一般的な幸せ、というものが、何かに目を瞑って、
何かを見ないようにして、何かの真実に触れないようにして維持している物だとしたら、
そこに真実を持ち込むのは善か悪か。
そういう点ではイプセン的でもあるなぁ、と思いました。
平和な日常の中に侵入してくる破壊者。
作中イグナシオも「戦争を起こしにきた」と言ってますが、
その行動は善とも悪とも言い難い、
「見る」という事への欲望と探求心。
「見る」という事がタブー視されている盲学校を舞台に、
登場人物の8割が盲目という中、
語られるのは物理的な見える見えないではなく、
真実を見通す力、のように思われました。
その力を持つイグナシオが、人に与える影響。
それは危険な扇動者か、それとも革命の英雄か。
一度真実へと向かい始めた火は、決して鎮火する事はないのでしょう。
盲学校を舞台にして、
「目を開け、真実は何だ、しっかり見ろ」
そう我々に問いかけるようなお芝居でありました。
すごい戯曲。
俳優陣も、安心の文学座クオリティ。
革命者イグナシオ(越塚学)に、もう少し、身にまとう孤独感、みたいな物が、
また、カルロス(神野崇)に、もう少し脆さ、みたいな物があったら、もっともっと何かが際立ったかしら。
劇中のあのびっくりタイムは、戯曲の指示かしら…
演出だとしたら、少し、演出家の「やってやろう魂」が強く出すぎてたような印象が無いでもない。
面白かったし、好きですけど、
「ならいっそ初めから数分この状態だったら超面白い」
とか思ったりしました。
もっさん、好き勝手言ってごめんなさい。
とても刺激的で面白い舞台でした。こういうのもっと観たいです。
もっと増えてほしい。
あー、こんなヒリヒリした芝居したいなー。