『エレクトラ』『からたち日記由来』「鈴木演出教室」 公演情報 『エレクトラ』『からたち日記由来』「鈴木演出教室」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    残念でならない 最後
    もうSCOT公演は東京では開催されないようだ。
    この時期の吉祥寺は風物詩のようになっていたので残念でならない。
    何故終わりになるのだろうか?
    武蔵野市のかわりに何処か手を挙げてくれないものか…。

    今回も、観ている間は、ただただ高尚な表現を感じるだけで、具体的に何がこんなに自分を魅了するのか解らない。
    決して容易に入り込んでくるような表現ではないのに、観終わるとまたその世界が恋しくなる。
    「エレクトラ」を観たが、正直<意味不明>であった。
    コロスがあそこまで表に出てくると、もはやコロスではなくれっきとした役である。(勿論、コロスは役柄なのだが…比喩的に述べた)
    エレクトラからも共感する想いは発せられなかった。ただただ力が感じられた。
    それは哀しみを普遍化した表現なのだろうと感じられるが、それは観終わった後、息を入れてからのことであった。

    研ぎ澄まされた刃物が舞台で振り回されているようで、緊張を強いられる。
    しかし、それが心地いい。
    なにやらマゾヒスティックな感覚に包まれざるを得ない。

    ギリシャ劇は、当時の政治や権力者への風刺の面を色濃く持っている。
    同時に、人間の”性(さが)”をディフォルメして抽出している。
    けれど、”今”この時代に近世の作品を取り上げる事の意味はなんなのだろう?
    ただ名作として存在するからなのか???

    今を想う時、この古典の表現を現代人の”性”に置き換えて表現した作品を観てみたい。
    歌舞伎が間違った方向へ進みだし、止まらなくなって間違いに加速がついている今の演劇界に何を期待するのか?
    況や、大劇場は何やらファッションとでもいうような軽薄な作品を輸入ばかりしている昨今、日本の文化レベルを託せる存在はSCOTだけではないのか?

    2,3の若い劇団は辛辣な批判をしてくれているが、ある種正当な演劇というものを作り続けているこの集団に、より多くを期待してしまう。

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