核の信託 公演情報 核の信託」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★

    プレ公演から、また違う印象に
    リーディング形式のプレ公演も観て、本公演も観劇しました。
    (プレ公演割引、ありがたかったです)

    衣装と舞台装置、演出が付くと、こうも変わるのか…と、驚き。
    プレ公演とは印象がだいぶ変わった登場人物もいて、
    そういう意味でも面白かったです。

    公演時間は、休憩なし2時間15分との告知。

    ネタバレBOX


    原爆を落とす側も、満場一致で落としたわけじゃなく、
    いろいろな立場からの考え方を
    登場人物を通して「同じ人間」として描いていて、作品としては好きです。

    基本的に会話のシーンで構成されるので、
    相手の話を聞いている途中で登場人物の感情が動く様子などを
    観ているのも楽しかったです。

    プレ公演でもウルッとした、夫婦の語りシーンでの二人が、
    動きがつくことでさらに魅力的になっていて印象的でした。

    時計の音や足音(地響き?)の重々しい効果音も、
    いい場所で使われてるなぁと思いました。

    ラストの、スチムソンの独白からのシーンは、
    あれはスチムソン自身でもあり、
    アメリカ、ひいてはこの世界そのものを表現してたのかなぁ…
    と、思わされました。


    ただ、観劇中にいくつか
    「あれっ?」と思ってしまう部分もあるのも事実です。

    特にヘレンが、夫には「希望を捨てないで」と言いながら
    (人殺しをしてしまった&火にまかれて生存は難しいとはいえ)
    おなかの子供とともに自殺してしまうところが、
    「なぜその選択ー!?」って思ってしまいました。
    プレ公演でも疑問で、本公演で
    彼女の気持ちがわかるかなぁ思ってましたが、やはりそこは謎…。

    リーディングでは、セリフが滑らかだったキャストの方が、
    昼も夜もセリフが時々とんだりつっかえたりしていて
    役の持つ底知れぬ恐ろしさと発言の説得力が減ってしまっていて、
    そこもちょっと残念でした。
    (セリフが難解な言葉が多かったり、似た言い回しが多用されるので
    大変なんだろうなぁ…とは思います。さらに動くし)

  • 満足度★★★

    世界征服戦争
    "新宿村Live"で本公演を観劇。新宿村にこんな立派な劇場が出来ていたとは知りませんでした。
    原爆開発時の米国大統領、F・ルーズベルトの物語。世界征服戦争が現実味を帯びていた時代の空恐ろしさを描いています。実際のルーズベルトが原爆の使用にどのような立場を取っていたかは定かではありませんが、フィクションとして楽しめました。役者さんがたはベテラン揃いといった感じで、安心して観られます。

    ネタバレBOX

    少し尺が長いかなという印象です。(2時間15分くらい?)
    ラストで、お腹に子供がいるのに自殺するのは、やや違和感がありました。
  • 満足度★★★★

    プレ公演観てきました
    本公演を観る前に、
    ムーブ町屋にて行われた、リーディング形式のプレ公演も観ました。

    史実を基にしたフィクション。
    リーディング形式といいつつも、
    座っているばかりではなく、移動や照明効果が入っていて
    物語に集中できました。
    地名などが出てくるとき、地図が欲しいな…と思ってしまいました。

    上演時間の告知は休憩なしで2時間5分。

    本公演では、演技や演出が入るにあたって
    多少のびるのかなぁと、なんとなく思っています。

    上演時間の告知、
    サイトなどで事前に発表されていたらと良かったなと思いました。

    来月の本公演にも期待しています。

    ネタバレBOX

    こういう言い方をするとアレなのですが、
    アメリカ側の立場でいいわけをしたり、
    思想をぐいぐい押し付けてくる系の話ではなく、
    こちらに考えさせるような展開で安心しました。

    原爆完成間近のアメリカ内部の話で、
    様々な立場からの意見が飛び交い、
    ほぼ目指すところは似てるのに
    その立場によってアプローチがぜんぜん違い、
    同じような言葉を逆の思想の人が放ったりするのにドキッとしました。

    何人かの役者さんは、既に「登場人物」になって演技していて、
    でもリーディングだから手にしている本に目線をやるせいで
    それで口ごもってしまっている印象を受けました。
    (逆に、まだ「読んでる」段階なのかな…って見えた人もいました)

    サンギエに対するヘレンの「もっと早くに撃てばよかった」は、
    すごく同意なのですが、
    それってつまり「先制攻撃がものをいう戦争の時代」の縮図なのかもな…
    と思ってしまい、気持ちは複雑でした。

    小道具としては無かったし、手も動かさなかったのに、
    彼が銃をつきつける姿やタイミング、
    ヘレンの最後の行動の絵などが
    立っている演者に重なって見えるようだった雰囲気づくりも良かったです。

    舞台上にいるけど気配を消している科学者達や、
    歩き方で身分がわかる軍部の人間たち、
    死んでしまう人物の消え方など
    本公演とはまた別の見せ方としてつくってあるようで、
    くいいるように観ていました。

  • 満足度★★★★★

    考えさせられました。
    広島に原爆が投下されてから70年目の昨日、ムーブ町屋という場所で行われた"核の信託”のリーディング形式のプレ公演を観てきました。リーディング形式ということであまり期待はしていなかったのですが、実際はものすごい迫力で本公演も観たくなりました。戦争を知らない世代が増える中、被爆者側をテーマにした作品は数多くあるのですが、この作品は原爆を手にした側の心の葛藤を描いている作品で、大変めずらしく考えさせられる作品でした。本公演も是非観に行こうと思っています。おススメの一作です。

  • 満足度★★★★

    朗読バージョンを拝見
     本公演に先立って行われた朗読バージョンを拝見。本公演は、一般的な芝居形式で上演する。(念のため)
     アインシュタインらの訴えによって、アメリカは、原爆製造に手を染めた。所謂マンハッタン計画である。この計画は、大統領やごく一部の側近、情報組織、高級軍人を除いて秘密に行われた。集められた核物理学者達も、FBIから日常的に監視され、当局に反旗を翻せば最前線に送られた。
     だが、原爆製造に関わった物理学者の中にも、技術者として持つべき当然の倫理観を持つフェルミらのグループが居た。今作は、彼らが、その当然の倫理を果たす為に大統領に宛てた建白書を巡る物語である。(追記第一弾2015.8.8)

    ネタバレBOX


     原爆のとてつもない破壊力とその悪影響は開発者には当然のことながら理解できた。無差別大量破壊兵器として機能すれば、それは、開発者の汚点にも、アメリカに対する信頼失墜にも繋がる。対日本戦にしても対独戦にしても、アメリカは、正義を標榜することができた。アンチファシズムで武装し、一種の救世主としてヨーロッパ戦線に参戦した訳だし、真珠湾攻撃に於いても3日前には暗号解読によって奇襲を把握しながら、空母を退避させて戦略の要を温存しつつ、先制奇襲攻撃を仕掛けたのは日本だという印象をアメリカ国民に持たせて戦意高揚に大成功を収めた。無論、それ以前、日本が日米戦争に突入するよう様々な封鎖政策を採っていたのである。いくら日本が愚かで、太平洋戦争開戦時の国家経済の規模が、アメリカの僅か4%に過ぎなかったとしても。
    By the way,そんなことはどうでもよい。問題は、マンハッタン計画で開発された原爆をどのように用いるかなのである。今作に登場する財閥グループの執事、サンギエの属する財閥とは、無論、作者の創造になるものではあるが、ベースになっている財閥は、ロチルド即ちロスチャイルド家である。それも、本家、ヨーロッパの各ロスチャイルド家、そして米ロスチャイルドを総合し、更に他の財閥系を加味していると考えられるが、根本をロスチャイルドとしたのは、科白の中に、ナポレオン戦争で儲けた、と出てくる点とアメリカの情報組織を凌ぐ情報収集力を持つことを臭わす科白から判断できる。そして、彼らの判断基準とは、資本主義の持つ冷徹で差別的でプラグマティックでデモーニッシュな論理と大衆蔑視である。要は儲ければ良いのだ。この論理は、現在のTPPにも無論通じるし、AIIBへの不参加にも通じるデュアリズムを根底とする論理である。本家、英ロスチャイルド家が、歴史的にシオニズムに加担したのも、結局はユダヤ教を政治的に利用する立場を鮮明にしたからだろう。本来、ユダヤ教は弁証法的である。弁証法を用いなければ世の中の次元は上がらない。何故なら、二元論では常に論理は、是非のみを明らかにし地場を離れる事ができないからである。結果、デュアリズム同士のイデオロギー闘争は、力に拠る他、「解決」の方法を持たない。サンギエの論理が、どこか悪い意味でニヒリスティックな色調を帯びているのも、弁証法をネグレクトした精神的退廃を内在化しているからである。即ち、デュアリズムの問題点とは、未来を閉ざすことに他ならないのである。
    今作に戻ろう。大統領、ルーズベルトは、戦争の惨禍に心を痛めている。アインシュタインと共に、原爆開発を進言したシラード、フェルミ、ルーズベルトの心の友で画家のヘレンを妻に娶ったジョン、そして3人と少々スタンスは異なるものの核の未来について大きな懸念を抱えるエドワードらは、FBIの監視下、大統領への直訴を悉く邪魔されてきた。軍部は、奇襲による原爆投下を主張する。だが、桁違いの破壊力を持つ原爆が、何の警告もなしに民衆の頭上で爆発することになれば、平和を本当は望んでいる一般民衆や女性、子供、老人迄が悉く大惨事に見舞われることは、彼ら核物理学者には、容易に予想できた。無論、死の灰の問題もある。一旦、原爆が炸裂すれば、その熱線、爆風のみならず、200種類以上の放射性核種が、生命の基礎に悪影響を与えることは、必然である。その結末は未知であったが、技術者の持つべき当然の倫理として、被害、それも甚大な被害が予想されるにも拘わらず、その悪影響をコントロールできる技術の開発も出来ていない段階で破壊兵器だけを作ること自体、技術者倫理に悖ることなど常識を持つ技術者なら誰でも考えることである。然し戦争という事態が、常識的で冷静な判断を困難にしていたという状況を考慮するならば、原爆を開発してしまったことは、喫緊の政治判断の結果だったにせよ、原爆を予告もなしに民衆の頭上に落とすことに関しては別問題であった。

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