はんなり☆夏語り~縁~ 公演情報 はんなり☆夏語り~縁~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    はんなりさんは泣かせ上手
    朗読劇「はんなりラヂオ」、
    今回は人と人との「縁」に絡めた3作品。

    【沢村校長の晩年】
    【花まんま】
    【縁の五十両】

    はっきり言って【花まんま】が泣かせました。
    (ネタバレ避けて)フライヤーに書いている限りで、

    自分の妹が「別人」を名乗りだした!

    という所からの物語の展開が、
    笑わせながらでありながらも、
    それはあまりにも悲しくて、
    でも「救い」があって素晴らしかったです(´;ω;`)


    あと沢村校長の口ではブチブチ言いながらも
    案外今の家政婦との暮らしを気に入っていそうな所も
    癒やされましたね。

    縁の五十両、見事に縁の連鎖の話なのですが、
    自分にはちょっと「そもそも~~」という所で、
    ちょっと大トリという感じではなかったですかね。

    まあ、「これぞ朗読(群読)」と言える作品達、
    そして演者陣でした( ´ー`)

    ネタバレBOX

    【思った事】

    ●沢村校長の晩年

    ・ 始まってすぐの頃、阪脩さんの語りが
      「ナレーション口調」のみだったように感じられ、
      「役に入り込めていない?」
      「ただ”読み”になってしまっている?」など、
      少々不安を覚えましたが、

      その後だんだんと沢村(元)校長が地を出していくにつれ、
      その口調から何からが「人のぬくもり」と
      「沢村(元)校長の(少々の)嫌味ったらしさ(?)」などを
      表に出していく様に、

      「ああ、最初は皆に慕われた”沢村校長”(という嘘の人格者)で、
      それが家政婦さんとの付き合いの中でだんだんと
      ”本音”を出すようになったんだな」という「変化」を演じた、
      と感じられるようになりました。

    ・ 「ただ言いたい事をいつも表に出さず」という行動が
      「いい人」という扱いを受けてしまい、
      その「誤解」は解ける事もなく、、、

      と晩年まで過ごして来た沢村(元)校長が、
      あまりにも押しの強い家政婦との付き合いの中で
      だんだんと「地の性格」を表に出すようになり、

      それがいつしか「家政婦手編みのニットキャップ」まで
      かぶるような仲になってしまっている(溶け込んでいる)という、
      だんだんと変化していく波のような「縁」に
      微笑ましさを感じました。


    ●花まんま

    ※ あらすじまんま書いちゃってます。

      (大阪ならではの笑いのテンションそのままの流れでありながら)
      妹が産まれてすぐに父を亡くし、
      片親(母親のみ)で苦労しながらも
      兄として必死で妹の面倒を見てきた。
      ※ 途中で兄妹とも10歳、7歳だったかと。

      しかし妹がある日高熱を出して以来、
      妙に大人びてしまった。

      ※ その時から、舞台横に「おばさん(?)」演者が
        一緒に(ジョジョで言うスタンドのように)立つようになり


      そして、「彦根(ひこね)」について色々と聴いて来る妹。

      ? すいません、彦根について自分自身詳しくないのですが、
        多分京都大阪の海の方?

      更には友達の家に行くと言って帰らず、
      電車にズル乗りし京都付近で保護された妹
      (彦根へ行こうとした模様)。

      兄は妹のノートに書かれた自分の家族と
      知らない誰かの家族達の名前、
      そして妹の名前が何故自分達の方に書かれてなかったのか?
      に疑問を持ちます。

      そして妹が「彦根へ連れて行って!」とお願いしてきた際に
      妹のノートの謎について問いただします。

      そして、、、

      妹「自分の中には別の誰か(しげたきよみ)がいる。
        そしてしげたきよみは二十歳を過ぎて、
        エレベーターガールになって
        知らない男に刺されて死んだ。
        彦根にはその家族がいる。
        一度でいいから彦根へ行かせて。」

      との願いに

      兄「彦根には連れて行ってやる。
        だけど、お前はうちの妹だ!

        苦労して育ててくれた母ちゃんもいるし
        死んだ父ちゃんとの約束もある。

        相手の家族だっていきなり知らない娘が
        ”実は死んだ娘(の生まれ変わった姿)だ”なんて
        言ってきても困るだけだ。
        だから(元の)家族に会うのは諦めろ」

      と。

      そして兄と妹、+なぞの「おばさん」(幽霊?)

      ※ この時点では「おばさん」=死んだ「しげたきよみ」本人かと思ってました。
        年齢が合わない所が更なる「謎」でしたが・・・

      は彦根へ、そして「おばさん」の案内もあり、
      海辺近くへ辿り着き、
      そこでガリガリのおじさん、を見かけます。

      妹「・・・お父さんだ・・・」

      兄に説明したしげたきよみの父親はとても太っていたそうです。


      近所の人にその話を聴くと、
      「娘さんが”事故”で亡くなってしまった時、
      自分は何も知らずたぬきそばを食べていた。
      そんな自分が許せずにそれから何も食べていない(最低限の栄養はとりつつ)。」
      との事。

      ※ この頃には妹=しげたきよみの死の直後に転生したもの、
        と物語上背景が見えています。

      (きよみの)父に会いたがる妹に「どうしてもダメだ!」とつっぱねる兄。

      そして妹は「ならば、あるモノを渡して欲しい」と兄にお願いします。


      そして兄はしげたの家を訪ね、
      立派に成人し歳をとったしげたきよみの兄、姉に対して

      兄「そこで髪の長い花がらのワンピースを着たお姉さん(しげたきよみの姿)に頼まれた」

      と父親に袋に入ったあるモノを渡すように頼みます。

      最初いぶかしがるしげたきよみの兄と姉、
      しかし父親がその”モノ”を見て驚きます。

      「花まんまだ・・・箸もちゃんと枝で2本・・・」

      ※ 花まんまは(自分は知りませんが)
        子供がおままごとでお花を使ってつくる
        「お弁当」のようです。

        そして、妹も、しげたきよみも、
        かつておままごとのたびに
        これを兄や(きよみの)父親にいつも出してくれた、と。

      亡き妹の事を思い出し、「誰からこれを託された!?」と
      執拗に聴くきよみの兄、姉に対して、
      ただ喜び、花まんまを(多分実際に)食べる(きよみの)父親。

      ※ この場面もう号泣でした。
        あまりにも悲しい家族に対して
        これまたあまりにも優しい場面(´;ω;`)

      そして兄は去ります。


      その後、妹の願い「○○湖を散歩しよう」に付き合って、
      じゃあ帰ろうと駅についた時、
      きよみの父、兄、姉がそこにいました。

      ※ (きよみの)姉は婦人警官なので、
        きっと子供がこれから
        帰るとすれば駅に行くだろう、と張っていた。


      そして、(きよみの)兄、姉が
      「花まんまを作ったのは、お嬢ちゃんなの?」と問いかけますが、
      (きよみの)父は「きよみ・・・」と妹を見つめます。

      兄は「さすがに父親には分かるのか・・・」と。

      しかし兄は妹を守り、
      妹は(きよみの)兄に名前を問われ、
      葛藤しつつも「今の自分の名前」を名乗ります。


      そして、(きよみの)母親が既に亡くなった話を聞き、
      亡くなったのが3年前だと言う事を知り
      (=ちょうど妹が高熱を出し、それから行動がおかしくなった)、
      
      きよみの家族達は、
      「きよみだけじゃない、母さんも父を心配してたんだ・・・」
      と気付きます。

      ※ そう、妹が高熱を出した後、ずっと「しげたきよみ」のように
        付き添っていた「おばさん」演者は
        「きよみの亡き母親」だったのです。


      そして、、、
      しげたきよみが亡くなった24歳を越えて、
      実の母親も過労が祟って亡くなり、

      妹がお嫁に行くその日、

      兄は「しげたきよみが生きた時間はもう過ぎた、
        これからは間違いなく、自分の妹の時間なんだ・・・」

      そして、親族のほとんどいない兄、妹に対して
      (亡き)父、母、きよみの母(幽霊達)、

      そして、
      きよみの兄、姉、

      更にはきよみの父親が妹のバージンロードの手を引いて歩く、という・・・

    ※ 千穐楽という事で【花まんま】作者の方も会場にいらしてましたが、
      ほんといい話書く人だな、あんた(´;ω;`)

      思わずあらすじそのまま書いてしまいました・・・


    ●縁の五十両

    ささっと・・・

    江戸時代の頃、貧乏な屋根職人の家を継いで自分も屋根職人になり、
    50を越えようという父と母、
    そして「せめて息子だけはこの貧乏暮らしから抜けさせたい」と
    学を付けさせ、着物問屋に奉公にやらせた息子。

    息子がある日家に現れたと思ったら、

    息子「五十両貸してくれないか!理由は言えないが、
      おタナのお金に手をつけてしまった。
      年末までに用意できないと大変な事になる。」

    心配する母親をよそに父親は息子を殴って追い返します。

    ※ 甘やかして育ててしまった。。。
      男にはそういう時がある。
      なんとか切り抜けろ、と。


    しかし、それでもなんとか息子を助けようと
    父は屋根職人の棟梁に「金を借りられないか」相談しようとしますが、
    棟梁は「用事がある」と出かけてしまいます。

    ※ 自分が言いたかった「そもそも」はここ。
      棟梁と話せていたらこの物語は成立していない。

    そして、父は屋根の瓦を積んでる中で、
    その家の主が金庫(?)に大金を入れる途中で、
    用事を思い出して出て行ってしまうのを見かけてしまう。

    そして、「善人で正直者」だけがとりえだった父が
    ついこの金を盗って逃げてしまう。


    更には、この父が川に子供共々身投げしようとする
    年増女(江戸時代の年増は25歳ぐらい)をみつけ、
    自殺を止めた上で身の上話を聞き、
    「悪い亭主に騙されて50両で今年の年末に女郎に売られるこの身、
    その亭主も亡くなり、
    しかしこの子があまりにも不憫で・・・」の話に、
    盗ったばかりの五十両をそのまま年増にやってしまう。

    ※ この時点で、年増女と息子の関係は読めてました。
      それぞれの台詞的に。


    そして家へ帰った父は、家の中がすっからかんに
    なっている事を女房に聞き、

    母「家財道具一式売って、あとは息子がいつも
      仕送りしてくれたお金を合わせて10両になった。
      あとはあんたがなんとかしてくれ。」

    と。

    で、父も今日あった出来事を話し、
    「自分はとんでもない事をしてしまった。
    とりあえず屋根職人の棟梁にこの事を伝え、
    お縄を頂戴しよう」と。。。


    その頃、息子と年増女が逢引。
    そこで、
    息子「まだ金が工面できないんだ・・・」という息子に対して
    年増女「お金は、、、とんでもない”良い人”がめぐんでくれたんです・・・」
    と。


    そして翌日、屋根職人の棟梁の元へ出向き全てを話す父、
    そこで屋根職人の棟梁は驚く話を。

    棟梁「そもそも家の主が用意していたその金は、
      うちへの入金予定の金。
      そして、○○さん(父)が思わず金を盗むのを見てしまい、
      あわてて”確かに頂戴しました”との領収証を
      書いて出てきた」と。

    棟梁「確かに盗みは悪い事だ。しかし良く話してくれた。
      ○○さん(父)の腕なら
      五十両ぐらいすぐ稼げる。
      そして、息子さんの五十両も貸すから
      来年、うーんと働いてくれ!」と、

    気前よく、父の不貞を許す棟梁。


    そして、年増女の話を聴いて父の元へ現れた息子と年増女と母。

    息子「気前良く金を出してくれた、という御仁、
      聞けば聞くほど、父としか思えなくて」と。


    そして、「今は仕事の途中だ、なんなら手伝え!」という父に
    息子「おれも屋根職人を継ぐ!」と息子が告げて

    ~ Fin ~

    と。


    ※ 結局、棟梁とすぐに話せてたら、
      めんどくさい事になってないですよね?

      あとあまりお話が練られていないな、
      という事で、高評価は上げられませんでした。

      この物語を2/3にして、
      最後が【花まんま】だったら、
      見事な構成だったんですが・・・


    まあ、攻殻機動隊SACの「猿オヤジ」事阪脩さん、
    そしてちびまる子ちゃんことTARAKOさん、
    など見事に演出してたかなあ、と。


    長くなってしまいましたが、はんなりラヂオの朗読会は
    次もぜひ聴きに来たいです( ´ー`)

    PS.今回、【花まんま】の号泣度合いは、
      銀河万丈先生の「ごんべん」の最近の物語を
      超えてるレベルだと思いました。
      「別会」に近いレベルかと。

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