ホテル・スイート 公演情報 ホテル・スイート」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    人情の機微に心震えた
    やはり、人間関係の微細な描写力に掛けては、ニール・サイモンの右に出る作家はいないなと思いました。

    一柳さんと宮本さんの、ニコルズ夫妻の関係は、一般的にはあまりない事例ですが、お二人の演技が素晴らしくて、まるで、ドキュメンタリーを観ているかのように、感情移入して、何度も涙腺が緩みました。

    片や、もう一方のマイケルズ夫妻の方は、シチュエーションコメディ担当で、こちらには、大いに笑わせて頂きました。

    酒井さんの演出が、素敵な塩梅で、この二組のカップルに、命を与え、観ていて、とても心地よいお芝居でした。

    現実社会が、何もかも不安でいっぱいな昨今、せめて、芝居でぐらい、こういう素敵な人情に触れて、心を潤したくなります。

    ネタバレBOX

    二組の夫婦の、歯車が噛みあわない、一つのエピソードから、物語が始まり、二幕は、それぞれの14年後という、洒落た二部構成の芝居でした。

    ニコルズ夫妻は、夫が、両性愛の嗜好の持ち主で、妻のダイアナは、夫の気持ちが、男性にも向いてしまうジレンマで、愛情があるのに、離婚します。

    14年後、再会したシドニーには、同棲中の男性の恋人がいますが、他にも、隠された真実があり、それを知った時のダイアナの苦悩の末の決断に、胸が締め付けられながらも、一方で、静謐な感動を味わいました。一柳さんが、難しい女性心理を見事に表現されて、感服しました。

    ただ、マイケルズ夫妻の方は、完全にお笑い担当といった感じで、二組の夫婦の描き方があまりにも違うので、二組の夫婦事情を交互に描かれる構成には、少し、心が付いて行けない部分もありました。

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