J=P・サルトル「出口なし」フェスティバル 公演情報 J=P・サルトル「出口なし」フェスティバル」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    4つめ(大人少年/chon-muop)、私としては第一位。
    未読の戯曲『出口なし』がいやまして輪郭をみせてきた(読んだが早いのですがね) 舞踊系の「大人少年」と演劇系の「chon-muop」(チョンモップ)はどちらも「表現上の要点」を端的に伝えて来る快さがあった。無駄を削ぎ落とした感じは、対象と距離を保てる明晰さの表われか。
    今回とくに触れたいのは「chon-muop」。地獄に堕ちた三人のみが登場し、ストレートに台詞劇を展開した舞台である。始めは言葉少なに、動きで表現するが、徐々に台詞が出て、中盤からはのべつ会話が続く。台詞は現代日本の話し言葉で、恐らくあちこち書き変えられている。この戯曲のキーワード「地獄とは、他人の事だ」が、言葉としてだけでなく役者の身体から伝えてきたと感じたのは、8本中このグループのみだ。演者がその場所を無間地獄と感じている事が判るよう、作られている。そのように構成した台本でもあったと思うが、俳優らの演じ分けが明瞭でなければこの「地獄の関係性」は真実らしく見えてこない。キャラを相当程度絞り込んでいるが、特殊なケースに見えるかと言うと、そうでない。普遍性に届く。三役者が台詞を出し通しで終幕になだれ込むが、60分を5分程オーバー。台本としてきっちり伝え切った「端折らなさ」に、私個人は戯曲の理解(従ってリスペクトも)を最も感じたグループだった。

  • 満足度★★★

    サルトル十人十色
    10団体、5組が2〜3ステージ行なう企画。既知の団体は一つ。名前のみ知る2団体(楽園王、IDIOT SAVANT)。後は全く知らないが、今年が第5回というので、一定の成果を示してきた証だろうと、観に行く事にした。全部は観れてないが3回足を運んで、d倉庫は毎回満席。毎回同じ客層ではなく、それぞれの団体目当ての客の割合が高いようだ。『出口なし』とは地獄で出会った三人が過去を抱えながら現在(三人の関係性)に苦悩する話のようだが、パンフに書かれた簡単な筋書きを頼りに、各団体の解釈による1時間のステージを観賞する。興味深い企画だ。1時間という制約は戯曲をそのままやらせず、作り手独自の切り口を要求する。6団体(一部しか見れなかったものもあるが)見て来て漸く『出口なし』という戯曲の世界が見えて来た、という感覚がある。各パフォーマンスは、舞踊ないし身体パフォーマンス系と、演劇系が半々で一組に両方が入るように組み合わされているようだ。課題そのものが難しいのだろうとは思うが、不足感の残る出し物にはなる。完成度を求めず、それぞれの持ち味を楽しむ、それには一つ観るのでは足らないだろう。一つの完成度の高いものも中にはある。いずれ、戯曲を踏まえようとすればするほどパフォーマンスとして判りにくくなり、戯曲からの飛躍が過ぎると元が判らなくなる、という矛盾の中での葛藤の代物を目にしていると思えば、嗜虐的な愉しみもなくはない。
    1st.楽園王とIDIOT SAVANT。前者は、戯曲を知らない私には「話の構造」を判りやすく大掴みに伝える意図が感じられ、好感が持てた。後者は抽象的、というより断片的にしか戯曲との接点が見えず、踊りは美しい動きであるより「そこにある秩序を壊す」的な動きを多用し、構成も含めて意味がよく見えない。サルトルとボーヴォワールが登場した最初の場面は期待させたがサルトル(役の人)が前面に出過ぎ、作品でなくサルトルでまとめてお茶を濁した感が強し。
    2nd.石本華子+Rosa..とaji。前者はだいぶ遅れて観賞、後者は好感触だったが内容を大分忘れて思い出せない(アフタートークの印象しか..)。ただ石本の踊りは端麗でうまく、本人から客席への語りや映像中にある「質問」がテキストに発するもので『出口なし』からの飛躍度は高いが一まとまりのメッセージを込めた出し物として成立してた感じはあった。
    3rd.shelfと初期型。後者は同企画の常連らしく、「毎回こんな感じ」と本人談。前者は開演前から独自の衣裳を着込んだ4人(登場人物は3人+ボーイで4人)が横一列に立ち、若干白塗り。開始後、初演年、訳者名、ト書きから読み始め、客との対面の導入が良いと感じたが、以後はリーディングが続く。大幅カットしたはずの戯曲をずっと読み進めるので、多分演技上、発語上の判らなさが生じていた(眠気の理由はそれだと言うのは不当か?)。削ぎ落とす演出、と本人談。だが何らかの技巧的演出による「説明」は必要だったのでは。後者は地獄の三人の役+二人(ボーイ役か舞台回し的な役を担う)が、次々と場面を作って行く。質問コーナーで互いの事を聞いたり(「死因」「どうして地獄に来たのか」等と書かれた紙が出る)、一人一人のそれぞれへの思いをゼスチュアで表現したり、歌ったり(イネス役)、踊ったり(ガルサン役、エステル役)、二人が抱えた鉄棒で逆上がりや前転をやったりと目まぐるしい。しかしそれらは現代からサルトル、また三人の人物を覗き見ようとする観客の欲求に応える形になっていてこれも好感が持てた。
    残る4団体も楽しみだが、全て見れるかどうか・・

  • 満足度★★★★★

    無題1469(15-117) 石本華江 & aji
    19:00の回(晴)。18:00受付、ロビー開場、18:33開場。

    昨年「青森県のせむし男」を観て面白かったので、今年もと思っていたら「aji」とあったのでさっそく観に来ました。

    ①石本華江+Rosa van Hensbergen(イギリス) 19:03~19:59
    ②aji 20:07~21:01

    原作は読んだことなく、あらすじすら知らないまま(当パンも読まなかった)の観劇です。

    2団体の作品が同じ素材から発生したとは思えないほどの仕上がり。

    石本さんは「ダンス」作品で初めて観ましたが強く印象に残りました(また観たい)。

    ajiはなぜか「青い飲み物」がありませんでしたが、ぶっ飛んだ演出。
    時田さん、「アドバタイズドタイラント(2012/1@d-倉庫)」、「お暇をこじらせてⅡ(2015/1@アゴラ)」-中藤さんも。勝又さんは初めて。

    余談ですが「出口なし」と言われると福島正実さんの作品であって、さらに「月は地獄だ!」は「他人は地獄だ」からきているのだろうか...。

    ネタバレBOX

    ①石本さん

    入るとすでに正面奥に男性が座っている。手前左右に畳程の大きさの薄板、両壁際にプロジェクター(45度くらい傾けてある)、奥の壁にPCの映像。

    携帯、飲食、トイレ、おしゃべり、写真撮影OK。「ルール」の意義、なぜ劇場ではそうなのか?それはどういうことだろう、劇場=黒、ギャラリー白という固定された表現、パフォーマーの遅刻はどうか?などの話。

    たくさんの質問で構成されている戯曲

    客席へ
    1.ここに座っているのは偶然ではないのか
    2.何をしてほしいのか
    3.どうして話さないのか
    4.私は魅力的か
    5.私たちは何を待っているのか

    映像(中継?)の質問に答える
    自己紹介的内容...どこまでが「真」?

    客席への問いかけは日本で通じるのか、ノリのよい演目だとありましたが、アフタートークでもなかなか質問が出てこないのが実情。ただ、質問内容には考えさせられました。

    正面奥の男性はキーボードを操作、分厚く、でも透明感あるサウンド。

    Rosaさん(オックスフォード大)、詩とダンス(コンテンポラリーと舞踏)、日本に2年間、今は一緒にいるということを伝えようとしている。

    オーロラを眺めているようなパフォーマンス(東洋的な印象も)

    ②aji

    6作目になります。
    今回、金子さんはお休み(最近気がついたのですが、初めて見たのはajiの作品ではなく「あなたの部品 リライト(2010/12@DECO)」でした)。

    人が3人、人に近い動物が1匹。人はその性別を強調した衣装、動物はその動きで表現。赤い糸で結ばれた3人のやりとりが、原作に倣っているのでしょうが、読んでいないのでわからないものの、仲が良いわけではなさそう。

    衣装の前半、それを脱いだ後半、という構成。
  • 意味不明
    楽園王さん目当て。

    でも、行った時間返してくれという気分。行かなきゃよかった。

    ★は、『評価しない』ではなくて、ゼロです。

    ネタバレBOX

    なにこれ?テキスト知ってないと観ちゃいけなかったのか?

    楽園王さんは、スジが全然わからず、
    ていうかBGMが大きくて時々セリフがよく聞き取れなくて、
    何を言ってるのかよくわからず聞くのを諦めてしまった場面もあり。
    私の好きな楽園王さんらしさも感じず、、、

    そしてDIOT SAVANT theater companyは、全く意味不明で。
    もともと私が、ダンスパフォーマンスって好きじゃないのもあるかもだけど、
    『こういう意味を表現して踊ってる』つっても伝わらなければ意味ないと思う。

    私には、ただ踊る音がダンダンとうるさいだけで凄いとも感じず、
    退屈なだけで、唐突に終わって、なにこれ?って感じ。

    意味不明でもひきこまれるときってありますけど、今回はそれもなく、
    私には、はっきり、時間とお金の無駄でした。
    久しぶりに『行かなきゃよかった』って思ってしまった観劇。

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