君の手には夢幻のファクター 公演情報 君の手には夢幻のファクター」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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    観客はF1も考えよ
     xxxx年1月11日、帝都S区に隕石が落ち、壊滅的なダメージを蒙った。その時、生き残った人間の内、数%には、今迄無かった能力が現れた。

    ネタバレBOX

    ミュータントが誕生したというわけだ。その能力は各人で異なり、能力差にも個性があった。だが、ミュータントにはならなかった他の人間達は彼らの能力を恐れ、その能力をファクトと名付け、能力を持つ者をファクターと称して差別し、このエリアを閉鎖してファクターを隔離した。差別の根拠として、普通の人間は、ファクターになった者は、心のどこかが欠けているとしていたが、それは、無論、自分達の差別を正当化する為の嘘に過ぎまい。何れにせよ、この被差別エリアをS区と呼ぶ。ファクター達の生き方は3つ。人間達に対し異議申し立てをし、自分達の立場を差別の無いものにするか。終生、囚われたまま、ラボでモルモットとして生きるか。或いは、特殊能力を用いると石化するという性質を亢進させられて石にされるかである。石になった彼らは、無論、死ぬのだが、石に彼らの能力が保たれ、これをコントロールすることによって普通の人間が、石になるリスクなしで同じ能力を用いることが出来るのである。
     舞台は、隕石落下17年後のS区の物語である。
    現有勢力は、ファクターを狩る為に組織された公安の特殊部隊、ハーベスト。メンバーにはファクターも、人間だが、石化ファクターの操作に優れた者達も、対ファクター用に考案された特殊な武器の使い手もいる。
    普通に生きる為に、異議申し立て運動に携わるファクター組織、シード。
    そして、ファクターであるが、矯正された経験を持ち、現在は、中立を保って貧乏探偵事務所に屯する面々。
    登場人物の各々が宿痾に似た因縁を持ち、それらが、各人の行動決定要因となって宿命のような流れを作り、闘う必然性を納得させる辺り、良く練られたシナリオである。同時に、理想的な人間らしさを追求するキャラクターが、どの組織にも存在することによって、現実の情念が齎すカオスと理想の齎す清澄とが対比されて、物語に深みが増している。
    格闘シーンが非常に多いのだが、身体応力の極めて高い役者が多く、アクションシーンも非常に楽しめる。映像とのコラボレーションも上手く機能している。

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