「ダム」 公演情報 「ダム」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    言葉の渦
    作家の妖気が、夜、原稿用紙をこするペンの先から立ち上るのを見るような、渾身の台詞使い。学者先生には見えづらい鴨川てんしの学者役だったが、枠に収まれず変転して行くタイプの存在がそこに居た。西山水木の役者としての妖気は、以前ザ・ガジラ公演でのそれが焼き付いている。
    本作は昨年、リーディング公演を座高円寺でやっており、(同時期にやっていた劇団本公演以上の)完成度に驚嘆したが、さて本舞台に上げてみてどうであったか。
    パワフルな舞台であった。ただ「本」の要求に至らない部分が残ったという後味。そう感じた原因について、今考えつくのは劇場の客席の急勾配、タッパによって、舞台を俯瞰・観察するスタンスに観客が置かれる。リアルに作り込まれた山間の旅館の装置も「作り物」に見えるし、役者の演技のタイプとしては、現代口語演劇、つまり四方上下からの観察に対応したリアルを要求されるような条件だ。観客に直接語る台詞(ナレーション的、狂言回し的に等)でも無ければ、プロセミアムを横から絵を見るように見る形の芝居を、上から覗く感じになる。この角度の面白さは物語の進行よりも存在のありよう、微細なリアルに真実を見る面白さである。あるいは、三次元世界のリアルを超えた何か、「妖気」と冒頭書いたが、人物がまとう妖気を何らか表現され、それが劇場内に充満する、的な。
    脚本は、劇的高揚を準備しているが、ダム建設を巡る対立が本筋だとすればその「説明」を登場人物らの個的な関係・やり取りの中に鏤めており、それらのこまやかな表現が機敏になされないと事実関係が伝わりづらい嫌いがある。
    がしかし、脚本の難易度に演出、俳優が果敢に挑戦するエネルギーは舞台の熱度に反映していたという事も。最後には胸のすくオチが用意されている。荒削りだが何やらあちこちをくすぐられる面白い舞台だった(それ一言書きゃ良いってか)。

    ネタバレBOX

    藤井ごう氏演出は、公聴会のシーンでの発言者・傍聴人を客席後部の両サイドに登場させ、通路を降りた所で発言者に発言させ、また背後から怒号を飛ばせた。この臨場感と台詞によって、開発と環境破壊、いい加減な環境調査と役人の言い逃れという公共事業の典型的な構図が描写される。観客はここで問題のありかの凡そを理解する事になる。ここが決まれば舞台は成功、とも言えるかも知れない。
    最後の最後のオチは、この芝居がダム建設を巡る人間の利害関係の問題に終始しない事を表わすもので、戯曲のグレードを一気に引き上げているが、戯曲のリーディングでは感じられていたラストに至る伏線が、舞台ではラストまで見えなかったのは、意図的なのか。願わくは個人的には「意識はしなかったがある意味予感が的中した」、と思わせるラスト(意表をつかれながらもしてやったり)が理想だったが、難しい注文か。
  • 満足度★★★★★

    まさに演劇
    さすが劇作家協会新人戯曲賞受賞作品。真面目で,硬くて,重厚で,見事に人間模様が描かれています。演技にも隙がなかったですね。ダム建設などの公共事業とそれに対する反対運動,個人的には思うところはありますが,それはさておき,芝居としてはお見事,文句はありません。多くの人に観てもらいたい演劇だと思います。

  • 満足度★★★★★

    骨太で力強い良作
    おすすめです。
    演劇の素晴らしさが、ぎっしりつまった重厚な作品でした。

  • 満足度★★★★

    多くを語る言葉を持ちませんが
    細部まで神経の行き届いた、とても存在感のある舞台でした。
    台本も演出も舞台も役者さんも素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    ラストは悲劇が頭を過ぎったのですが、それは悲劇であり喜劇でもあり清鮮な感動を与えてくれるものでした。
  • 満足度★★★★★

    重厚でした
    そんで2時間20分と長いんですが、
    これがまぁホンに心に響く作品でありまして。
    細かいところまで作りこまれて表現された舞台に脱帽です。

    →感動したっ! てぇ~やつです(^^)

    ネタバレBOX

    ダム建設を巡り取り残された築100年を越える民宿「かわず荘」の土間を中心とした舞台セットが、これまたよく出来ていたんですわ。
    台所裏の露天風呂に入ると水面の照り返しなどが屋根上の木々に反射したりとか、蛍とか、いろいろ細かいところが手抜き無く表現されてたコトが自分的にツボでありました(^^)
    舞台となる地域は熊本県の人吉から車で1時間以上はかかるらしい水害の多い土地=山奥という設定です。
    基本、熊本弁で展開する芝居もユニークで気に入りました。
    40歳バツイチの女性の心情とか、幼馴染とのズブズブな関係とか、
    過疎化とか様々な事柄が見事に積み重なった舞台でありました。

    寿命の無い”国”という怪物との裁判上の戦い=そりゃあ結局は”寿命”のある人間の負けは決まってるわな。 →ダムが出来ても出来なくても結局人の減少で村は弱小化して消失してしまうだろうが、山や河などの自然は残るんだ・・・と話は閉じて表現されるラストは心に残りました。
  • 満足度★★★★★

    やりきれない。
    ダム建設。一言では済まさせませんね。何年何十年と続きいつ終わるのか?その土地に生まれ育ってきた人々どんな気持ちだったのでしょうか。そして現在も同じ状況に合っている人々が沢山いるかと思われます。いいお芝居だったと思います。が、やりきれない部分もありますね。

  • 満足度★★★★

    骨太だが深刻すぎないし色気もある
    大変面白かった。ダム建設を巡る数十年の攻防史が軸の社会派ドラマだが、深刻過ぎない。親子、男女の愛憎を絡め、終盤は怒濤の展開。だらしなく生き続ける人間、なし崩し的に積み重なる歴史、全てを受け入れ、時に猛威をふるう自然。諦念ではなく覚悟を受け取った。約2時間20分。

  • 満足度★★★★

    ダム建設事業をめぐる人々の物語
     ダム建設事業をめぐる人々の、特に、建設予定地にある民宿を経営する女主人公の母娘二代(三代?)の関わりを軸とした物語ですが、きちっとした構成のもとで骨がありながらドラマ性豊かな見応えのある作品になっていたように感じました。また、本格的な舞台セット、力のある俳優陣の演技、山の息吹を感じさせてくれる凝った演出も見所になると思います。

    ネタバレBOX

     プレビュー公演での上演時間は休憩無しで約2時間20分でした。
     リーディングを拝見しておらず今回の公演ではどこがどのくらい変わったのかよくわからないのでなんともいえないのですが、最後はこうしめくくってきたかといえるエンディングでした。
     また、「鴎外の怪談」(現在、上演中。しげさんの倍返しは消滅しましたが。)でも話に出てきたドクトル大石を扱った「太平洋食堂」の再演が来年の夏に予定されていて、嶽本さんと藤井さんとのコンビの作品がまた拝見できるのが楽しみです。


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